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【記録で12球団総括】ヤクルト低迷と“HR出すぎの神宮球場” 逆襲に必須な山田哲人の復調、投手陣の課題は?
 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2020/12/22 17:01

【記録で12球団総括】ヤクルト低迷と“HR出すぎの神宮球場” 逆襲に必須な山田哲人の復調、投手陣の課題は?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

12球団本拠地の中でも随一の“打者優位”な明治神宮野球場。ヤクルトはその地の利を生かすチームを作れるか

 優勝した2015年以降の神宮球場でのヤクルトが打った本塁打数と、打たれた本塁打数、()はヤクルトのリーグ順位である。

2015年 67本-54本(1位)
2016年 69本-88本(5位)
2017年 53本-95本(6位)
2018年 89本-80本(2位)
2019年 87本-105本(6位)
2020年 71本-80本(6位)

 本塁打収支が黒字の年はAクラス、赤字の年はBクラスときれいに明暗が分かれている。
 神宮球場を本拠地とするヤクルトは、本塁打を量産するのも重要だが、それ以上に被本塁打を最小にとどめるべく努力すべきなのだ。

2015年セ優勝と、リリーフ陣の充実

 そのポイントとなるのは「救援投手」だ。

 先発投手は年俸が高額なうえに、優秀な投手を複数そろえるのは難しい。しかし救援投手は年俸も比較的安いし、様々なタイプをそろえることで、終盤でしっかりと戦えるようになる。

 2015年の優勝は、まさにその典型だった。以下はこの年のヤクルト投手陣のPR(Pitching Run/リーグ平均防御率との差異で導き出す先発・救援を含めた投手の総合指標)5傑である。

1バーネット 13.58
(3勝1敗 41SV 6HD)
2オンドルセク 9.30
(5勝2敗 0SV 33HD)
3秋吉亮 7.46
(6勝1敗 0SV 22HD)
4ロマン 7.34
(5勝5敗 0SV 23HD)
5小川泰弘 2.43
(11勝8敗 0SV 0HD)

 上位には、この年セーブ王を獲得したバーネットをはじめとする救援投手がずらっと並ぶ。先発は小川が5位にかろうじて入るが、この年13勝9敗の成績を残した石川雅規は、防御率が3.31とリーグ平均防御率(3.24)を下回る「-1.14」で15位だった。

 つまり、この年のヤクルトはリーグトップクラスの「勝利の方程式」で勝っていた。

 先発投手が53勝55敗、防御率3.68と負け越しだったのに対し、救援は23勝10敗、防御率2.67と13の勝ち越し。まさに救援陣の踏ん張りによる優勝だったのだ。

2020年のリリーフ陣はどうだった?

 では、2020年はどうだったのか? 以下は同じくPR5傑である。

1石山泰稚9.03
(3勝2敗 20SV 4HD)
2スアレス8.68
(4勝4敗 0SV 0HD)
3寺島成輝5.45
(1勝0敗 0SV 3HD )
4今野龍太2.79
(0勝1敗 0SV 0HD)
5清水昇1.72
(0勝4敗 0SV 30HD)

 やはり救援投手が5位までに4人。先発はスアレスだけだ。10勝8敗だった小川泰弘のPRは-10.31で29位、それに続く4勝のスアレスは2位だが、3勝6敗の高梨裕稔は-3.03で16位だった。

 2020年のヤクルト投手陣は、先発が26勝50敗、防御率4.83と目も当てられなかったが、救援も15勝19敗、防御率4.33と厳しいがまだましな数字だった。

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