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駅伝2冠を狙う駒澤大に“新・山の神”現る? 13年ぶりの箱根駅伝制覇と「黄金時代」再来の条件 

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酒井政人

酒井政人Masato Sakai

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photograph byAsami Enomoto

posted2020/12/22 06:00

駅伝2冠を狙う駒澤大に“新・山の神”現る? 13年ぶりの箱根駅伝制覇と「黄金時代」再来の条件<Number Web> photograph by Asami Enomoto

全日本大学駅伝を制した駒澤大の大八木監督とエース田澤廉。2冠、そして黄金時代の再来をかけて箱根路をゆく

全日本8区の田澤廉への大きな信頼

 全日本大学駅伝では酒井亮太、山野力という学生駅伝未経験の2年生も出場した。5区酒井は区間2位(区間新)と好走して、6区山野も区間4位でまとめている。前回の箱根出場者が7人いるなかで、2年生コンビを起用したのも箱根の戦いを見越した部分である。

 そして最終8区に田澤廉を配置。大八木監督は2年生エースをアンカーに起用する戦略を早くから考えていたという。

「8区田澤なら45~60秒くらいの差だったらひっくり返せるかな、と。私が設定していたタイムは57分00秒です。今回は勝つことを優先しましたが、もう少しタイム差があれば田澤は攻めていく走りをしたと思います」

 トップ青学大との差は41秒。田澤は2秒先に走り出した東海大・名取燎太(4年)の背後にピタリとついて前を追いかける。そして終盤、前回MVPの名取を突き放して、劇的な逆転Vを決めた。

 全日本8区19.7kmは90年からエースたちが激戦を演じてきた特別な区間だ。田澤は今回、日本人歴代5位の57分34秒をマークしている。日本人最高記録は早大・渡辺康幸が4年時(95年)に樹立した56分59秒。田澤本人は「56分59秒」を目標にしており、あと30秒ほど遅れてタスキを受け取っていたら、さらなる快走が見られたかもしれない。

今回唯一の「駅伝2冠」がかかる強豪は

 全日本を6年ぶりに制した駒大には「駅伝2冠」のチャンスが訪れたことになる。チームとしては「優勝」が目標となるが、大八木監督は冷静にとらえている。

「今季は学生三大駅伝のうちひとつは勝つことを目標にしていました。そのなかで、今のチームは出雲か全日本なら勝てそうな感じがしていたんです。出雲は中止になったこともあり、全日本は優勝を狙っていました。でも箱根は簡単ではありませんよ。1・2年生は全日本の距離には対応できるかもしれませんが、本当に強いチームにするには箱根で戦える集団にしないといけません」

 全日本後に取材したときは、「箱根を走る1年生は2~3人じゃないでしょうか。上級生の状況次第ですけど、1年生を簡単には出させない努力をすると思います」と大八木監督は話していた。その後、1年生がさらに進化する。12月5日の日体大長距離競技会10000mで白鳥哲汰が28分14秒86、青柿響が28分20秒42をマーク。箱根駅伝のエントリー(各校16人)には1年生が5人も登録された。

 さらに12月4日の日本選手権10000mで田澤が27分46秒09(8位)の駒大記録を樹立。エントリー上位10人の10000m平均タイムは史上最速の28分26秒81となった。

 勢いに乗る駒大は、箱根駅伝でも連覇を目指す青学大、前回2位の東海大とともにV候補に挙げられる。そして、駒大は来年度、再来年度に続いていく“黄金時代”への道も考えている。では、駒大がこの“野望”を果たすにはどうしたらいいのだろうか。

【次ページ】 駒大が苦手な区間を最後に制したあの“選手”

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