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三浦龍司、吉居大和……「2022年の箱根駅伝」で見られる? 次世代の大物ルーキー候補たち【高校駅伝】
posted2020/12/21 18:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
JIJI PRESS
「今年は、大会記録を更新しないと優勝は難しい」
世羅高校の新谷紘ノ介主将がそう語っていたように、今年の都大路は昨年を超えるハイスピード駅伝になると多くの高校が考えていた。
今年は、コロナ禍の影響でインターハイなどが中止になり、選手のモチベーションを維持するのが難しかった。だが、自粛期間を個々の選手がうまく生かしてレベルアップに努めた。そうして地方大会や記録会で5000m、13分台のタイムが続出した。多くの選手が自己ベストを更新し、例えば世羅のように13分台の選手を4名有するなど、とてつもないチームが生まれていたからだ。
都大路は、その世羅が制した。
3区でコスマス・ムワンギ(2年)が1キロ手前でトップに立つと、4区時点で2位の洛南高校に55秒差をつけ、そのままその貯金を活かしてアンカーの塩出翔太(2年)が逃げ切った。5区までは世羅が持つ2時間1分18秒の大会記録を更新するタイムでトップを維持していたが後半に少し遅れ、2時間1分31秒の歴代2位のタイムで5年ぶり10回目の優勝となった。レース後、新宅昭二監督が涙を流していたのが印象的だったが、午前中には女子が優勝し、勝たないといけないプレッシャーを相当に感じていたのだろう。
2連覇を狙った仙台育英は、7区で白井勇佑(3年)が襷を受けた時点で31秒あったタイム差を一時は11秒差まで詰め、世羅の背中に迫った。だが、あと少し及ばず、惜しくも2位に終わった。
12年ぶりに「日本人だけの高校最高記録」が更新された
意地を見せたのは、洛南高校だろう。
1区の若林宏樹(3年)が3位と好走すると3区で佐藤圭汰(2年)が2位にチームを押し上げ、最終的に3位に入った。2008年に佐久長聖が作った留学生を含まない日本人だけの高校最高記録(2時間2分18秒)を2時間2分7秒で更新した。
優勝が期待された佐久長聖は、5000mで歴代2位の記録を出した伊藤大志(3年)が1区で5位と上々のスタートを切ったが、世羅との差を詰めることができず、最終的に5位に終わった。
今年は、日本人だけの高校最高記録が更新され、歴代記録10位内に4チームが入り、昨年よりも高速化が進んだといえよう。
個々を見ても、今後が楽しみな選手が増えた。とりわけエース区間の1区は、47名中、13分台のタイムを持つ選手が10名おり、将来の中長距離界の人材の宝庫だった。