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駅伝2冠を狙う駒澤大に“新・山の神”現る? 13年ぶりの箱根駅伝制覇と「黄金時代」再来の条件
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byAsami Enomoto
posted2020/12/22 06:00
全日本大学駅伝を制した駒澤大の大八木監督とエース田澤廉。2冠、そして黄金時代の再来をかけて箱根路をゆく
1年生を“山”の5区に起用してくるか
駒大は02~05年に4連覇を達成しているが、08年を最後に優勝から遠ざかった。なかなか勝てなかったのは、5区が最長区間だった時代(06~16年)に、「山の神」が降臨しなかったことが挙げられるだろう。この間に5区の区間賞は出ていないのだ。
17年から往路小田原中継所の位置が元の場所に戻り、駒大としては勝負しやすくなった。大八木監督は現在の1・2年生を軸に「令和の常勝軍団」を築くつもりでいる。そうなると箱根の“山”は1年生に託したいところだ。
「1年生のなかにも5区、6区がやれそうな選手はいますよ。往路は5区をキチッと走ってくれたら面白いですね。5区は経験者の伊東もいますし、1年生の候補もいます。ただ近年はシューズの進化もありレベルが上がっていますから、5区は1時間10~11分台で走れる選手を作らないと厳しいですよ。6区も58分台前半で抑えておかないと、上位校に離されてしまいます」
伊東颯汰(4年)は前々回区間5位(1時間12分23秒)と好走したが、前回は区間13位。筆者は1年生のなかから5区を起用してくるのではと予想している。
両角監督もほれ込んだルーキーに“山の神”の素質?
なお1年生は希望区間について、鈴木芽吹が「2、4区」、花尾恭輔が「往路」、白鳥哲汰が「6区」、唐沢拓海が「山区間」、青柿響が「7区」と答えている。
このなかで最も気になるのが佐久長聖出身のスーパールーキー・鈴木の区間だ。かつて佐久長聖高を率いていた東海大・両角速駅伝監督が「5区候補」として鈴木を熱心に勧誘していたという話を聞いた。鈴木クラスの選手に上りの適性があれば、「山の神」と呼べるような活躍を見せる可能性があるだろう。
いずれにしても2区と5区でアドバンテージを奪える選手がいれば、駒大の黄金時代が再び到来するはずだ。
「箱根は自分たちが描いているレースができればいいなと思います。5区と6区で確実に走れる選手を育てて、往路は勝負していきたいですね。勝ちパターンですか? 4区までに少しでもリードを奪って、あとは逃げ切るような感じだと思います」
学生三大駅伝で最多22度の優勝をもたらした名将はこう話す。13年ぶりの箱根Vで、「令和の常勝軍団」へ。駒大の反撃が始まっている。