プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「目的はその1点だけ」楽天・石井一久監督兼GMが語る、三木谷浩史オーナーからの“お題”とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHINBUN
posted2020/12/14 11:02
2019年、平石監督(当時=左)を出迎える楽天・三木谷オーナーと石井GM
野村ヤクルトには野球の教育をしてくれる選手がいた
「野球の経験値のあるチームにしていきたい。そのためにはある程度の順位というのも、経験値をあげていくための1つのスパイスになると思います。だから選手には優勝争いを経験して、いい順位を経験させてあげたいというのはあります。
3年後に向けていうと、いまの若い子たちが、次に入ってくる選手たちに野球の常識というか、野球の教育をできるチームにしたい。
僕がいた野村さんが監督をやられていた頃のヤクルトでもそうでした。最初の4年か5年で、野村監督がいないときでも、ある程度、選手が自分たちでできるようになっていた。それくらいに野村さんが教育しチームを作ったということですけど、古田(敦也)さんだったり、宮本(慎也)さんだったり、チームにしっかり野球の教育をしてくれる選手がいた。だからヤクルトの伝統というのは受け継がれたと思います。そういう野球の解る選手がどんどん出てきて欲しいと思いますね」
ここ一番の場面では、絶対にバットに当てる
――今はそういう選手がまだいない?
「そういう選手がいなかったのでまず浅村や大地に来てもらった。浅村のスイングを最初に見た楽天の選手は『すげーな!』って目で見ていたんですね。でも、『すげーな!』っていうだけじゃなくて、ランナー三塁だったら2ストライクになればセカンドゴロもしっかり打てる。三振も多いけど、いつもフルスイングしているわけではなくて、野球を知っている選手はここ一番の場面では、絶対にバットに当てる。
ベンチの選手には、浅村くらいの選手でもそういうバッティングをするし、バットを時には短く持つんだとか、そういう細かいところに目を向けていって欲しい。
そういう選手として浅村や大地はいる部分もあるんです。だから2人には、まだまだしっかり背中で教育してもらう時期だと思っています」
――来年は監督として、もっとダイレクトに選手とのコミュニケーションを図れるチャンスも増える。その分、そういう選手教育という部分でも責任が重くなりますね。