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「目的はその1点だけ」楽天・石井一久監督兼GMが語る、三木谷浩史オーナーからの“お題”とは
posted2020/12/14 11:02
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SANKEI SHINBUN
――まずGMとはどんな仕事だと思っていますか?
「2018年のオフのウインターミーティングで、オークランド・アスレチックスのビリー・ビーンとニューヨーク・ヤンキースのブライアン・キャッシュマンというメジャーでも成功している2人のGMと話をする機会がありました。
そのときに『GMの一番大切な仕事はなんですか』と聞くと、彼らは『オーナー対応だ』っていうんですね。『オーナーの目指す野球をどうやってチームに反映させていくか。また同時に5年、10年というチーム計画をどう持つか』だと。オーナーの目指す野球の中でプラス5年、10年先をしっかりと見据えて強いチームを構築していくことが使命だということでした。
その上で『目先の批判だったり、非難に捉われるな』ということを2人から聞いたんですよ。もちろん別々に話をしたんですが、2人とも同じことを言っていました」
結果を出す努力は怠ってはいけない
――ということは楽天では三木谷浩史オーナーの思うチーム作りのために動くのが石井GMの仕事ということになる。
「そうですね。僕はオーナーからは大きく『常勝軍団を作れ』というお題をいただいている。僕はそこに向けたチームを構築していかなければならないので、どうやって5年、10年というところの土台を作っていくか。
ただ、ビリー・ビーンやキャッシュマンも、目先の結果に捉われるなと言いながらも、結果を出す努力は怠ってはいけないという話もされていましたね」
――そのテーマの中で石井GMの手法は?
「僕がGMになったときの楽天は、絶対的な得点力が全然ないチームだった。そこで短期的に戦力をどう上げるかを考えたときに、やっぱりディフェンスもオフェンスもガンとあげられるわけはないので、まずある程度、得点を取れるところから着手しようと。
それでFAだったりドラフトでも、野手を中心にとっていこうという方針を決めました。結果として20年は優勝を狙えるところまで戦力的には持ってこられたかなというシーズンではありました。
ただ、結果論ではないですけど、僕の中では最終的にはディフェンスというところが追いついていなかったという認識はありますね。やっぱりこのチームだと、やられるときはこういう風にやられるよなという予想をある程度は立ててやって、その通りになったようなところはありました」