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SNSにタトゥー…ドルトムントのファブレ監督(63)に聞く「最近の若い選手はどうですか?」
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph byAlexis Réau/L’Équipe
posted2020/12/12 06:00
9月18日に開幕した今季は第10節を終えて首位バイエルンとは勝ち点差4の4位につけ(12月11日現在)、虎視眈々とトップをうかがっている
ファブレ もちろん時代に応じた対応は求められる。最も大きな違いは、今の若者たちは生まれたときからソーシャルアカウントとともに成長してきたのに対し、私たちはそれに適応しなければならないことだ。誰かが悪用すれば大きなアクシデントになり得る。彼らがそれに依存しきらないような配慮が求められる。
だがソーシャルアカウントは、ベテラン選手たちも同じように活用している。練習場では携帯の使用を禁止している監督もいるが、私も選手たちがSNS依存症に陥り集中力を失うことが何より心配だ。コミュニケーションに熱中するあまり睡眠時間が削られて、それがピッチ上のパフォーマンスにも影響を与える。そうはならないと誰が言えるだろうか。
――21世紀になってから、選手たちのメンタリティはどう変わりましたか?
ファブレ 今から15年前にはまだSNSは存在しなかった。今日の状況は当時とはまったく異なり、多くのパラメーターの再調整が迫られている。しばらくの間、携帯を使わずにいることを学ぶのはとても大事なことだ。
「金を稼ぐため」だけにビッグクラブに来る選手はいない
――今の若い選手たちはサッカーに興味を持ち、試合をたくさん見ていると思いますか?
ファブレ 練習の度に感じるのは彼らがサッカーを愛していることだ。単なる仕事だとは思っていない。情熱を持ってサッカーに取り組んでいる。紅白戦や練習のトーナメントでも、本気で試合に臨んでいる。本当にボールが好きなのは見ていてよくわかる。
15~6歳の若さで金を稼ぐためだけにビッグクラブにやってきた若者を、私はまだ見たことがない。他のクラブではそうしたことがあるかも知れないが、ここにもそんなメンタリティの選手がいるとは私には想像できない。チームメイトたちと一緒に練習するのを望まず、喜びを分かち合えないのであれば、彼がいい選択をしたとは思えないからだ。彼らはここで一緒にプレーする喜びを毎日のように感じているし、その喜びはすべてに優先すると私は思っている。
――試合の翌日に選手たちと意見を交換しますか?
ファブレ CLのときもそうであったように、彼らとはよく話し合っている。戦術や試合中のシステム変更、選手それぞれのプレーや犯したミスなど、彼らは試合で実際に何が起こったかを知りたがっている。自分以外の試合から学ぶことで、さらにレベルを上げようとしている。いずれも好奇心に溢れており、好奇心こそが彼らを輝かしいキャリアへと導く。