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「15歳にして計344ゴール」で年齢詐称疑惑も ドルトムント16歳ムココ、寮住まいでも潜在能力は特大
posted2020/12/11 17:20
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
11月21日に行われたブンデスリーガ第8節ヘルタとの一戦で、ドルトムントのユスファ・ムココが16歳と1日でブンデスリーガデビューを飾った。ブンデスリーガ最年少出場という記録が達成されたという事実以上に、ドイツサッカー界全関係者にとっては将来を嘱望される世紀の逸材がようやく本格的に始動したこと。その喜びと期待が膨れ上がる1日となったことだろう。
代表監督ヨアヒム・レーブは「まれにみる才能を持ったタレントだ」と話し、ドルトムントのルシアン・ファブレ監督も「16歳で彼ほどのプレーができる選手をこれまで一度も見たことがない」と称賛の言葉を並べる。選手目線でも評価は同様だ。
同僚で20歳ながら世界屈指のストライカーであるノルウェー代表FWアーリング・ハーランドは「現時点で世界最高のタレントだ。すごく強烈な選手で、それがまだ16歳なんだ。信じられないよ。彼には偉大なキャリアが待っているはずだ」とその実力に太鼓判を押している。
13歳にしてザンクトパウリ下部組織で得点王
カメルーンで生まれたムココがドイツに来たのは13年のこと。先に父親のヨセフがハンブルクで仕事をしていたわけだが、10歳の時に母親とともにハンブルクへ移っている。最初にプレーしていたチームはザンクトパウリU-13だった。
パウリ時代最初の監督であるヨナ・ロウカは当時を述懐する。
「たしかU-13の新シーズンになって4~5週目だったと思う。ユスファはパパと一緒に来てたんだ。彼にとって良かったのはとても社会性の優れたチームだったことで、みんな新しく来る選手に興味を持って、すぐオープンに受け入れていたんだよ。練習が始まって5分で、彼を獲得しようって思った。
選手登録するための書類を準備して、そこからは早かったなぁ。初めてザンクトパウリのユニフォームを着て参加した大会で、早速彼は得点王になったんだ。しかも決勝ではハンブルガーSVとのダービーにも勝利したんだ」
その後も試合ごとにゴールを重ねていくムココに、様々なクラブが熱視線を注ぐようになる。