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「長谷部誠、引退か」報道に現地の旧知記者は“強烈な違和感” ウェブ翻訳ツールと実際のニュアンスの違いとは 

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島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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posted2020/12/10 11:03

「長谷部誠、引退か」報道に現地の旧知記者は“強烈な違和感” ウェブ翻訳ツールと実際のニュアンスの違いとは<Number Web> photograph by Getty Images

いまだブンデスの舞台で存在感を放つ長谷部誠。まだまだその健在ぶりを見ていたい

 今季のアイントラハトは所属選手の平均年齢が他の1部クラブに比べて高く、長谷部も先発した今季ブンデスリーガ開幕節のビーレフェルト戦におけるアイントラハトのスターティングメンバーの平均年齢は29.2歳と、極めて高い数字でした。

ヨビッチ、アレらを売却で収入を得る戦略

 アイントラハトはバイエルン・ミュンヘンのようなビッグクラブではなく、リーグでは中堅クラブの規模に留まります。そんなクラブの現実的な目標はUEFAヨーロッパリーグへの出場権を得られるリーグ6位入線であり、それ以外の健全なクラブ運営の最善策は、若く有望な選手を育成して他クラブへ売却することで得られる収入源確保になります。

 実際に2018-2019シーズンのアイントラハトはヨーロッパリーグでベスト4に入り、同大会とブンデスリーガで活躍したFWルカ・ヨビッチがクラブ史上最高額の6000万ユーロ(当時で約73億5000万円)でレアル・マドリー(スペイン)、FWセバスチャン・アレが4500万ユーロ(同約56億7000万円)でウェストハム(イングランド)へと高額な移籍金で売却されました。

 ちなみにアイントラハトはこのふたりの移籍によって得られた資金によって、今年のコロナ禍での経営危機を免れています。

『フランクフルター・ルントシャウ』の記事では「プレーヤーを獲得し、育成し、提供することがアイントラハトのフィロソフィ(哲学)、及びストラテジー(戦略)である』と論評しています。

将来性ある選手を積極起用する必要性

 この趣旨に則するなら、アイントラハトは若く将来のある選手を積極的に登用し、彼らに経験値を積ませてレベルアップさせたうえで、彼らの存在を認知させて移籍交渉で優位性を得る必要があります。

 今季、アイントラハトのヒュッター監督が3バックのファーストチョイスに据えているのは、リベロのポジションに28歳のオーストリア人DFマルティン・ヒンターエッガー。右ストッパーには来年1月に現役を引退して母国のアルゼンチンへ戻ると公表されたキャプテンで34歳のダビド・アブラアム。そして左ストッパーは21歳のフランス人DFエバン・エンディッカの3人です。

 着目すべきはエンディッカの存在です。

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