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「長谷部誠、引退か」報道に現地の旧知記者は“強烈な違和感” ウェブ翻訳ツールと実際のニュアンスの違いとは
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/12/10 11:03
いまだブンデスの舞台で存在感を放つ長谷部誠。まだまだその健在ぶりを見ていたい
『フランクフルター・ルントシャウ』によると、彼には2250万ユーロ(約28億円)の市場価値があるとし、ヒュッター監督もクラブの哲学、戦略を機能させるうえで「彼(エンディッカ)には、それに見合う才能と資質がある」と述べたと記しています。
2250万ユーロもの金額はクラブ運営において貴重な資金になり得ます。その意味でも、たとえ経験が浅く、プレーレベルに向上の余地があるとしても、21歳のエンディッカをレギュラーに抜擢する合理性はある。この観点から、ドイツ地元紙は今季のヒュッター監督の選手起用や采配を客観的かつ正当に評価しているように感じます。
「評価を高めなければならない」
一方、アイントラハトのクラブ事情については長谷部自身も、以前の試合後のミックスゾーン・インタビューで言及したことがあります。
彼はスタメンを外れていた時期に悔しさを露わにしながらも、中堅クラブとして、どのようなクラブ戦略を用いるべきかを十分に理解し、そのうえで「自身の力を発揮して、その評価を高めなければならない」と語っていたのです。
なぜ指揮官は長谷部について言及した?
さてこの流れを踏まえて、ヒュッター監督は何故、ドルトムント戦後のオンライン会見で長谷部に言及したのでしょうか。これについては実際の会見の模様を確認しなければなりません。
今季、ブンデスリーガの試合後オンライン会見はYouTubeやクラブの公式ホームページにアップされていますので、誰でも視聴することができます。そこで僕も全編ドイツ語の本会見を観てみました。
約14分間の会見で、長谷部の話題が出たのは11分過ぎのことでした。地元ドイツ人記者が「この3人(アブラアム、ヒンターエッガー、エンディッカ)のユニットが上手く機能している以上は、3試合出場できていない長谷部が割って入るのは難しいのか?」と質問したのに対し、ヒュッター監督は柔和な表情を崩さず、選手へのリスペクトを込めたうえで、こう述べています。