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「長谷部誠、引退か」報道に現地の旧知記者は“強烈な違和感” ウェブ翻訳ツールと実際のニュアンスの違いとは
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/12/10 11:03
いまだブンデスの舞台で存在感を放つ長谷部誠。まだまだその健在ぶりを見ていたい
「マコトは経験豊富な選手で、私が指導した中でも最高のプロ精神を持つ選手のひとりだ。彼自身も時にはプレーできないことに理解を示してくれている。それでも、私は彼がこのチームの一員であることをとても嬉しく思っている。もちろんマコトは4バックでプレーすることも可能だが、彼はそれをそれほど好んでおらず(4バックでのポジションを)居心地が良くないと話している。
したがって、場合によっては彼を6番(ディフェンシブミッドフィールダー)で起用することもあるだろう。ただ、マコトが(ディフェンスラインで)プレーすれば、マルティン・ヒンターエッガー、エバン・エンディッカのうち、1人がプレーしないことになる。エンディッカは若いプレーヤーで、その才能とクオリティから、近い将来には高額な移籍金で売却することになるかもしれない。そうなれば(彼を起用しないのは)『諸刃の剣』とも言える」
核心の“引退か”の部分を検証すると
さて、核心に触れる部分は次なるヒュッター監督の言葉です。まずは指揮官がドイツ語で何と言っていたかを記してみます。
「Makoto ist 37. Im Sommer wird seine Fusballerkarriere, denke ich mal, so ziemlich sicher zu Ende sein」
今の世の中は便利なツールがありますよね。言語についてはウェブを介した翻訳サービスもありますから、文章さえ分かれば、それを入力してそれぞれの母国語に変換できます。僕もご多分に漏れず『Google翻訳』などにお世話になっていますので、とりあえずこの文章も便利なツールで翻訳してみました。
その日本語訳はこんな感じです。
「マコトは37歳です(2021年1月に誕生日を迎える)。夏には彼のサッカーのキャリアは、ほぼ確実に終わると思います」
おうふ……、ほぼ各種報道通りの内容です。
でも、実際に映像で観た指揮官の表情や言葉の抑揚、そして僕のように少しだけでもドイツ語の勉学に勤しむ者からすると、この日本語訳には強烈な違和感を覚えます。