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巨人の本拠地が「東京ドームのまま」への“ちょっとした絶望”…この狭さではパとの格差が埋まらない?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2020/12/04 17:03
1988年3月に開場した東京ドーム。横浜スタジアム、神宮球場に次いで3番目に狭いスタジアムだ
本拠地として使い続けることへのちょっとした絶望
それは今回の買収劇で巨人は向こう10年か、ひょっとしたらそれ以上、このスタジアムを本拠地として使い続けることになることへの、ちょっとした絶望である。
東京ドームは悪いスタジアムではないと思う。ただ、開場は1988年の3月で、すでに32年の歳月がたった老朽化したスタジアムというのが現実なのである。
モデルとなった大リーグ、ミネソタ・ツインズのメトロドームは開場から32年で解体されている。
もちろん100億円をかけた大改修計画もあり、このコロナの時代にそった便利で安全なスタジアムに生まれ変わることはできるのかもしれない。
いかんせん、世界基準からすると狭い
ただ、いかんせん、世界基準からすると狭い。両翼100m、中堅122mで左中間と右中間が110mでフェンスの高さは4mという数字は横浜スタジアム、神宮球場に次いで3番目の狭さ。そういう本拠地で野球をやり続けることが、巨人の野球に少なからず影響を与えるのではないかとも思うのだ。
ここ数年で日本一広い球場だったソフトバンクの本拠地・PayPayドームもホームランテラスを設置して東京ドーム並の広さに縮小し、ロッテの本拠地・ZOZOマリンスタジアムも同様にホームランラグーン席を設けて外野の奥行きを狭める改修を行っている。
そうしたホームランが出やすいスタジアムへの改修は1つのトレンドにはなっている。ただ、そうした球場もどこかでそれらの席を取っ払って、元々の世界基準の広さの球場に戻すことができる。
しかし東京ドームを本拠地にする限り、巨人はずっと、この狭い中で野球をやらなければならない宿命を背負うことになるのだ。
スケールの大きい選手が育つのには、もちろんまずは才能だ。ただ、育っていく過程の環境も全く無関係とは言えないはずである。