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巨人の本拠地が「東京ドームのまま」への“ちょっとした絶望”…この狭さではパとの格差が埋まらない?
posted2020/12/04 17:03
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki
日本シリーズでソフトバンクに惨敗を喫した翌々日の11月27日に、巨人の将来を左右する大きなニュースが飛び込んできた。
三井不動産が巨人が本拠地とする東京ドームの株式公開買い付け(TOB)を実施し、完全子会社化することを発表。子会社化後には読売新聞グループ本社に全取得株の20%を譲渡し、東京ドームを含めた3社が連携して運営に当たることになった。
ことの経緯を整理するとこういうことだ。
ホワイトナイトとして名乗りを挙げたのは……
東京ドームは兼ねてから球場の運営を巡って、筆頭株主である香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントと対立。今年に入ってからはその対立がより先鋭化して、10月16日にはオアシスが長岡勤社長と社外取締役の森信博氏(元みずほコーポレート銀行副頭取)、秋山智史氏(元富国生命保険社長・会長)の解任を求めて、臨時株主総会の開催を提案。来年の定時株主総会では新たな社長候補を立てるとして、現経営陣と真っ向対決の様相を見せてきていた。
こうした動きに東京ドーム側も長岡社長が「現在の経営体制が最善」と、こちらも真っ向対立の姿勢を見せた。
この中で12月17日の臨時株主総会の開催を決定したが、現経営陣は9.61%の株を持つオアシスに対抗するための支援企業を探していた。そこに「ホワイトナイト」(白馬の騎士)として名乗りを挙げたのが、三井不動産だったわけだ。
三井不動産は11月27日に友好的買収で東京ドームにTOBを実施し、完全子会社化することを発表。買収額は1205億円と伝えられている。その後に株式の20%を巨人の親会社である読売新聞グループ本社に譲渡する。