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箱根駅伝ランナーが“厚底制限”で自己ベスト率低迷? 一方で大迫傑、相澤晃らが履く“高速スパイク”とは

posted2020/12/03 11:04

 
箱根駅伝ランナーが“厚底制限”で自己ベスト率低迷?  一方で大迫傑、相澤晃らが履く“高速スパイク”とは<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

全日本大学駅伝のスタート直後、駆けだした数えきれないナイキのロゴマーク

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酒井政人

酒井政人Masato Sakai

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Yuki Suenaga

 11月の全日本大学駅伝は駒大が6年ぶりの優勝を飾った。最終8区は“3強”と呼ばれた青学大、東海大、駒大がトップ争いを展開。最後は2年生エース・田澤廉の強烈スパートが炸裂した。

 今年の伊勢路は順大、城西大、早大、青学大、東海大、駒大が首位に立つなど、エキサイティングな戦いになった。さらに記録の面でも素晴らしかった。駒大が大会記録を2分以上も更新して、5位早大までが大会新。そして4区間(1、4、5、6区)で13人が区間新記録をマークした。

 近年、マラソンを含めて、ロードレースの記録が大幅に短縮しているが、その裏にはシューズの影響が多大にあるのは間違いない。そう、ナイキの厚底シューズだ。今年の全日本大学駅伝では区間賞を獲得した8人全員がナイキを着用。6人が最新モデルの「エア ズーム アルファフライ ネクスト%」を、2人が前モデルの「ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」を履いていた。

東海大・石原翔太郎の衝撃にシューズの影響

 そのなかで一番のサプライズは4区で区間記録を樹立した東海大・石原翔太郎だろう。昨年の全国高校駅伝1区で5位に入っている期待のルーキーだが、10kmを28分09秒前後で通過。箱根駅伝2区で日本人最高記録(当時)を打ち立てた順大・塩尻和也(現・富士通)が4年時にマークした区間記録を32秒も塗り替えたからだ。石原にタイムについて尋ねると、「好タイムはシューズの影響もあると思います。高校時代は別のメーカーでしたから」と厚底の威力を実感しているようだった。

 2017年夏に一般発売されたナイキ厚底シューズ(当時のモデルはズーム ヴェイパーフライ 4%)は年々進化を重ねて、世界のマラソンシーンを席巻。日本でも大きな話題となった。箱根駅伝ランナーにおけるナイキのシェア率は2018年が27.6%、2019年が41.3%。2020年は210中177人(84.3%)がナイキ厚底シューズを履いて出走した。

 さらに今年の全日本大学駅伝では200人中186人(93.0%)がナイキを着用。最近は他社もカーボンファイバープレートを搭載したシューズを続々と発売しているが、トップ選手はナイキ厚底の“魔法”を信じているようだ。厚底人気は一過性のブームではなく、完全にロードレースの常識を変えたと言ってもいいだろう。

 なお厚底シューズの最新モデルであるエア ズーム アルファフライ ネクスト%は米国のTIME誌が選ぶ「THE 100 BEST INVENTIONS OF 2020」(2020年のベスト発明トップ100)に選出されている。

【次ページ】 “厚底騒動”で自己ベスト率が大幅低下?

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