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巨人、ソフトバンクの“真っ直ぐ”が打てない衝撃 「リアルにロッテより弱い」の声も…
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/11/23 13:00
第2戦に先発し、6回途中まで2失点に抑えた石川
完全な力負けが続く
「もはやDHうんぬんというだけの問題ではない。根本的なチーム作り、ドラフトや外国人選手の獲得など編成全般の問題が、これだけの差を生んでいるのでしょう」
こう呻いたのはあるセ・リーグ関係者だった。
昨年、シリーズで4連敗した直後に原監督が指摘した、指名打者制度によって生まれたリーグ間格差の問題は、確かにきっかけとしてあるかもしれない。
ただ、根本的な野球の差、選手の質の差は、そうした制度的な歪み以前の問題であることは明白となっている。
完全な力負けが続く。
まず巨人打線がソフトバンクの繰り出す投手のパワーピッチが、真っ直ぐが打てないのだ。
岩嵜、杉山、椎野にも手も足も出ず
初戦の3回。無死一塁から打席の大城卓三捕手が、ソフトバンク先発の千賀滉大投手に12球を投げさせた場面があった。真っ直ぐで押す千賀に、大城は食らいついてファウルを連発した。だが、実は150km台の真っ直ぐに、振り遅れてボールが前に飛ばなかったというのが本当のところだった。
同じ初戦で、流れを決めたのが4回の攻撃。千賀が連続四球を出してつかんだ無死一、二塁のチャンスで、丸佳浩外野手がボール2から真っ直ぐを狙い打った。しかしこれも振り遅れて詰まった遊ゴロ併殺打に倒れてチャンスは潰えている。
第2戦でも先発した石川柊太投手の投球に圧倒されたが、巨人にとって一番、ショックだったのはそこではなかったかもしれない。
9点差のついた7回からマウンドに上がった岩嵜翔投手、8回から登板した杉山一樹投手、そして最後を締めた椎野新投手と大差の中で出てきた3人のリリーフ投手が、いずれも150km台の真っ直ぐを連発。その投球の前に手も足も出なかった。