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森保Jの10番・南野拓実 リバプールで控え続きも…脱皮のヒントは“オシムのオリッチ論”では
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2020/11/21 17:02
南野拓実は日本代表の10番を背負い、リーダーシップを発揮するアタッカーになれるだろうか
パナマ戦はポジティブに振り返った
今回は大迫勇也が活動に参加できなかった。ただ、大迫がいたとしても守備の時には最前線で南野と大迫が横並びになることも多い。どうやって守っていくのか。その方針を背中で示す権利が南野にはある。
だからだろう、パナマ戦についてはポジティブに振り返っていた。それはPKを獲得して、自ら決めたことだけが理由ではなかった。
「今日は攻撃の起点としてゴールに一番近いところでプレーできました。それと、ディフェンスでも自分がスイッチを入れる役割・場面が多くなるポジションだったので。まわりに質の高い選手がいるからこそ、僕も楽しくプレーできたし。このフォーメーションはたぶん、監督のプランだと思うので。そういうやりやすさが今日感じられたのは良かったかなと思います」
思い出すイビチャ・オシムの言葉
しかし、17日のメキシコ戦では後半12分から途中出場を果たしたものの、前線でボールを失いそこからのカウンターによる相手の追加点のきっかけを与えてしまった。
彼はゲームを作るタイプではなく、決めるタイプ。そう感じさせる場面だった。
日本の中盤にはこれまで、試合を決められる選手よりも試合を作るタイプの選手が多かった。
南野はこれまでの先輩たちとは異なる特長を持っているからこそ、今の立場を手にしたわけだ。大切なのはこれから彼が、代表でどんなアタッカー像を作っていくかだ。サッカーは時代とともに変わる。誰かと同じ背番号を背負おうが、同じポジションを任されようが、先輩のプレーを真似する必要はない。時代に合わせて、自ら作り上げるべきなのだ。
思い浮かべるのは、今回の遠征で試合が行なわれたグラーツに住む重鎮の言葉だ。2006年夏からおよそ1年半にわたり日本代表を指揮したイビチャ・オシム氏はかつて、日本人が目指すべき選手として、クロアチア代表やバイエルンで活躍したイビチャ・オリッチの名前をあげていた。
日本の文化や日本人の気質を考えれば、前線の選手は「働き蜂」のようなタイプで名を上げることができるはずだというのが氏の考え方だった。
オリッチはかつてバイエルンを国内2冠とCL準優勝に引き上げた原動力となったが、CL準決勝でハットトリックをしたような活躍も目立つ一方で、前線から守備のスイッチを入れられる選手でもあった。