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森保Jの10番・南野拓実 リバプールで控え続きも…脱皮のヒントは“オシムのオリッチ論”では
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2020/11/21 17:02
南野拓実は日本代表の10番を背負い、リーダーシップを発揮するアタッカーになれるだろうか
「チームのためにという考え方ですね」
そして11月13日にパナマ戦を迎えた。これまでのトップ下のポジションではなく、3-4-3のセンターフォワードを任された。何度も相手ディフェンスラインの裏へ飛び出して、パスを引き出すアクションが多かった。センターフォワード然として、相手を背負って足下でパスを受けるのが得意でもないし、そういう役割も求められていない。だから、こう考えながらプレーしていた。
「チームのためにという考え方ですね。あのフォーメーションのなかで、1トップの選手が引いてボールを受けに行って、2列目の選手が飛び出すというパターンよりも、2列目の選手の特徴をふまえて、自分が(相手の)ディフェンスラインを下げさせて、2列目の選手のためにスペースをあけるというやり方。監督からも、練習からそういう部分はチーム全体の意識として(頭に置いておくように言われた)という部分はあったし。実際、1本のパスで裏をとれているなという感覚は立ち上がりからありましたし」
守備でも、ファーストディフェンダーとしての役割を担っていて、前半3分過ぎにはベンチにいた森保一監督から「拓実、今みたいに2回追ってね!」と声をかけられていた。
ファーストディフェンダーとして、どのようにプレーするべきなのか。リバプールに所属する今、それを学ぶために最高の環境にあることは間違いない。
森保監督は選手を鼓舞するタイプ
興味深いのは、この試合で出色のパフォーマンスを見せた遠藤航が合宿中に語っていたこんな話だ。
「中から(相手の攻撃のコースを)切りながら(プレッシャーをかけに)いくのか、それとも外から切っていくのか。 “中切り”なのか、“外切り”なのか、今のリバプールもそうですけど、プレッシャーのかけ方は(時代とともに)変わってきていると個人的には思っていて。全部、中から行くのではなくて、外から切って……とか、そのあたりはチームとして共通意識をもってやれるんじゃないかなとは思っています」
遠藤が言うように、チーム内でコミュニケーションをとりながら、対戦相手や試合状況によってプレーを変えることを、選手たちは求められている。というのも、森保監督は策を授けるというよりも、メキシコ戦の後半の苦しい時間帯で「ここ、我慢するところだよ」と選手たちに声をかけたように鼓舞するタイプだからだ。