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“欧州の辺境クラブ”は「まず、名前が読めない」 編集泣かせもCLで意外に輝くドラマ性
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph byGetty Images
posted2020/10/20 20:00
見事“デンマーク代表”としてCLの舞台に挑むミッティラン。サッカーファンなら彼らのような辺境クラブも愛したい
アザーリーグはまず、名前が読めない
アザーリーグは、好奇心を大いに刺激する。何しろ、何も分からないのだから。
まず、名前が読めない。今年、最も警戒していたのは3度目のデンマーク制覇を果たしたミッティランだ。できれば対戦したくなかったが、プレーオフを勝ち抜き、見事に初出場をつかんだ。
デンマーク語は難しいと聞いてはいたが、カナ表記をするために情報を集め始めて愕然とした。日本語では5つの母音が、16個も存在するというのだ。カタカナでどう記せばいいんだ!?
さらにこのクラブには、北欧他国の選手がいる。今季は「Andersen」と「Andersson」と「Anderson」が所属する。パッと見は同じようだが、音声もいろいろと集めてみると、発音は随分と違うものだった。答えは名鑑で確かめてほしい(間違ってたら、ごめんなさい!!)。
オランダ、フランスの発音が……
オランダやベルギーのクラブは現地在住のライターさんに頼るのだが、オランダ人の名前は当人に教えてもらうまで正しい発音が分からないことも多いのだとか。複数の言語が使われるベルギーも難関で、そのライターさんが実際にクラブまで出向いて確かめてくれたこともあった。
フランス語も厄介だ。今年、最難関だった1人が、パリ・サンジェルマンのケイス・ルイズ・アティル。必死に情報を探すうち、ある動画にたどり着いた。
クラブ対抗のU-19の試合放送の断片で、確かに実況者が「ケイス・ルイズ!」と呼んでいたのだ。ほっとする一方、フランスサッカー協会が育成年代の試合を実況付きでこうして残していることに、彼我の差を強く感じた。欧州サッカーは、広く、深い。