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無能無策オーナーと会長に新監督と選手の不満大爆発! バレンシアが空中分解寸前か
posted2020/10/20 17:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
ラ・リーガの開幕から1月も経っていないのに、バレンシアのハビ・グラシア新監督が辞意を明らかにした。
チームの深刻な戦力低下に対して、クラブが何ら手を打たなかったからだ。
昨季終盤に差し掛かった頃、バレンシアはチームを大幅に改造することを決めた。その理由は収入源である。
2020-21シーズンの予算に計上していたCL出場による収益が、中位に低迷することで当てにできなくなった。そのため、大口スポンサーであるブックメイカーの広告を厳しく制限する政令が制定されようとしている――。
新型コロナウイルスの影響で入場料収入も途絶えているなか、収支のバランスを図るためには既存の選手を売却して所得を増やし、同時にチームコストを下げるしかない。
主力を次々と他クラブに売り払い
クラブは高給取り(フランシス・コクラン)や移籍の際に高値が付く者(ロドリゴ)に目をつけただけでなく、オーナーのピーター・リムを批判して解任されたマルセリーノ元監督と親しくしていたダニ・パレホなど計10人を対象に、7月12日の第36節レガネス戦の直前、それぞれの代理人に移籍先を探すよう告げたという。
J・グラシアはその5日後、アニル・ムルティ会長から若手を積極起用してCL出場圏内を目指すプロジェクトを提示されて、主力はチームを去るけれど、代わりの選手は獲ると約束されて監督就任を承諾した。
実際、フェラン・トーレスをマンチェスター・シティへ、ロドリゴをリーズへ売り払い、D・パレホは無料で、コクランは格安価格でビジャレアルに譲った。
そこに契約延長に失敗したエセキエル・ガライを加えると、バレンシアはレギュラー格の5人を一気に失ったことになる。