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放送中止、ボディタッチで抗議……ブンデス初の女性主審・ビビアナが実力で跳ね返してきた“性差別”

posted2020/10/21 11:00

 
放送中止、ボディタッチで抗議……ブンデス初の女性主審・ビビアナが実力で跳ね返してきた“性差別”<Number Web> photograph by Getty Images

日本が優勝したドイツ女子W杯、翌年のロンドン五輪で主審を務めたビビアナ・シュタインハウス

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了戒美子

了戒美子Yoshiko Ryokai

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ブンデス初の女性主審が引退へ

 9月30日、DFLスーパーカップバイエルン対ドルトムント戦において、ビビアナ・シュタインハウスが主審を務めた。ドイツではタイトルマッチを女性審判員が裁くのは初めてのことだったが、シュタインハウスはその試合をもって引退することが同時に発表された。また、2017-2018シーズンからブンデスリーガ1部での主審を務めて来た彼女にとって初めてのドルトムント戦だった。

 シュタインハウスは日本にとっても浅からぬ縁がある審判だ。2011年、日本が優勝したドイツ女子W杯、翌年のロンドン五輪も、決勝の笛を吹いたのは彼女だった。日本の栄光は彼女とともにあるのだ。

 ドイツサッカー連盟(DFB)によれば現在ドイツには約7万5000人の審判員がいるそうだが、彼女がデビューした2017-2018シーズンにブンデス1部で主審を務めたのはわずかに24人。ドイツにおける審判員のトップ中のトップの1人となった。シュタインハウスは現在41歳で47歳の定年までまだ時間はあるが、引退の具体的な理由は明かされてはいない。

「コロナ禍でいろいろなことを考えて、キャリアを終えることにした。時が来たらもっと詳しく話すことにする」

 とDFBのサイトにコメントを寄せている。今後はVAR(ビデオアシスタントレフェリー)としてブンデスリーガには関わり続けるそうだ。

 と、ニュース的にさらっと書いてしまうと、「まあ女性がトップリーグやタイトルマッチで笛を吹くことは、それなりに特別なことかもしれないけど、日本ではないし、ドイツの話だし、女性が男性スポーツの世界で対等に活躍することもあり得るのかな」という風に響くのではないかと思う。実際にドイツで暮らす筆者も、ドイツでは女性主審がブンデスリーガで笛を吹くことも自然に受け入れられるのではと当初は思っていた。

 だが実際はそうではなかった。彼女の存在はドイツ国内においても特別だったのだ。

ドイツでも「ブンデス1部の主審は認められなかった」

 引退に際しビルト紙に掲載されていたコラムがその特別さを感じさせてくれた。ちなみに、ビルト紙というのは、男性向けの娯楽から芸能ゴシップなどまで掲載されている大衆タブロイド紙である。そこで多くのシュタインハウスに関する記事を執筆しているクリスティアン・キッチュ記者が情感たっぷりに、でも誠実に記事を寄せている。「サッカー界にはもっとビビ(シュタインハウスの愛称)のような女性が必要だ」というタイトルで始まる。

【次ページ】「女性」というだけでチャンスが与えられない現実

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