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“欧州の辺境クラブ”は「まず、名前が読めない」 編集泣かせもCLで意外に輝くドラマ性
posted2020/10/20 20:00
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph by
Getty Images
「Rest of the World」――。
「残りの世界」「その他の世界」といったところか。なかなかの物言いだと思った。
23年前、フランス・ワールドカップの本大会組み合わせ抽選会の前に行われた、出場国選手によるエキシビションマッチ。ヨーロッパ選抜と対戦したチームが、そう名付けられていた。ヨーロッパvsそれ以外。階級社会という言葉が頭に浮かんだ。
ヨーロッパサッカーにも、厳然たるヒエラルキーが存在する。
頂点を争う舞台は、もちろんチャンピオンズリーグ。参加することさえ困難な、エリートが集う大会だ。
その至高のステージの端っこギリギリと、その先に広がる「その他のヨーロッパ」。その境界線をうろついて、もう10年になる。
4大リーグじゃない「その他のクラブ」
毎年夏、熱いイベントがやってくる。Number PLUSの「欧州蹴球名鑑」の作成だ。2011-12シーズンから執筆や編集で携わり、一貫してあるリーグを担当している。
4大リーグに入れてもらえない、「その他のリーグ」だ。
2015-16シーズンから「OTHER CLUBS」(その他のクラブ)に変更されたが、それまでは「OTHER LEAGUE」(その他のリーグ)と呼んでいた。CLには出場するものの、国内リーグで優勝しても自動的に出場権を与えられない小国や、まさかのグループステージ突破を果たせば万々歳のクラブといった、いわば非主流派の集まりだ。
彼らが華麗なプレーを見せることはないかもしれない。常連チームは同組になった時点で、勝ち点3を勘定に入れるはず。見ている人は「何なの、このチーム?」と思うことだろう。
だからこそ、いい。