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「なぜ新生アーセナルはゴールキックを右に展開する?」戸田和幸が語る“アルテタ監督の頭の中”
posted2020/10/15 20:00
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Getty Images
試合中には、数多くのセットプレーがあります。その中でも今、僕がとても注目しているのがゴールキックです。
『ゴールキック時、ボール保持側チームの選手がペナルティーエリア内でボールを受けることを可能とする』
2019年のルール変更により、ゴールキックの重要性は一気に高まり、今では得点につながる立派なセットプレーになったと感じています。それまでは、GKがロングボールを蹴って、空中戦のこばれ球を奪い合うのが当たり前で、偶然性が高いプレーでした。
ところが今では、各チームが様々な工夫をして、ゴールキックからパスをつなぎます。自陣ゴール前でのプレーですから、リスクは伴います。ここでボールを失えば、失点に直結する。当然、相手はここぞとばかりにハイプレスをかけてきます。
ただし、リスクがあるからこそ、それに見合った大きなリターンがある。相手のプレスをかいくぐることができれば、その背後には広大なスペースがあるからです。
ゴールキックを観る際には、ボールを蹴るGKと、パスをもらいに来るセンターバックの位置関係、中盤の選手が何人ペナルティーエリア付近まで受けに来ているか、相手はそれを止めるために何人使っているかを確認します。それを踏まえた上で、画面に映っていない場所の状況をイメージする。一般的にはGKとセンターバック2人、中盤1人、計4人がボックス内にいることが多いですが、これはフォーメーションや奪いに来る相手の人数、配置によっても変わってきます。
なぜアーセナルはゴールキックを右に蹴るのか?
ゴールキックをうまく使っているなと感じるチームの1つが、アーセナルです。8月のコミュニティシールドでは、ゴールキックから見事にリバプールのハイプレスを空転させて、オーバメヤンのゴールに結びつけました。