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クリロナがコロナ陽性、“ナポリ試合放棄事件”が大モメ どうなる感染急増セリエA
posted2020/10/15 17:35
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
セリエAがCOVID-19に侵食されている。
選手やコーチングスタッフ、クラブ職員まで含めたリーグ全体の陽性感染者数は、8月下旬のキャンプインから数えて計15クラブ、50人以上に上っており、さらに日々増殖中だ。新型コロナウイルスの感染再拡大はイタリアだけでなく、冬を前にした欧州各国で顕著になっている。
10月13日には、ポルトガル代表に合流中のクリスティアーノ・ロナウドにまで陽性が発覚した。惑星最高の男であっても感染を避けることはできない。
新型コロナウイルスがスクデットレースや残留争いを左右する。虚構でもSFでもなく、そんなシナリオが現実のものになろうとしている。
10月最初の週末に行われたセリエAの第3節を前に、ジェノアでクラスターが発生した。
選手17人を含む総勢22人に陽性反応が出て、トリノを迎え撃つはずだったカードは急遽延期になった。
プロトコルに沿ったリーグ運営
現在、イタリアでのリーグ運営は、「プロトコル」と呼ばれる感染拡大防止策を拠りどころにしている。
今年の春に実施された都市封鎖措置によって昨季リーグ戦が中断された後、6月下旬の再開のためにFIGC(イタリア・サッカー連盟)が政府諮問機関「科学技術委員会」の意見を仰ぎながら作成し、内閣の承認を受けたものだ。
大まかに述べれば、選手に陽性反応が出たチームでも該当者を隔離し、残る選手たちが試合当日の検査で陰性であれば試合への参加を認めるという約定である。別の見方をすれば、感染者が出た団体であっても、第三者との接触が避けられない遠征のための長距離移動や試合そのものに参加はできる、ということでもある。
第3節でジェノアの試合が延期になったのは、プロトコルの中に定められた「直近1週間以内に陽性発覚患者が10人以上出たクラブは、シーズン中1度だけ試合延期を要請できる」という規定が適用されたものだ。