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全仏のユルい感染症対策は「結果オーライ」? IOCバッハ会長に東京五輪の開催を尋ねると… 

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長谷部良太

長谷部良太Ryota Hasebe

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photograph byHiromasa Mano

posted2020/10/16 17:01

全仏のユルい感染症対策は「結果オーライ」? IOCバッハ会長に東京五輪の開催を尋ねると…<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

表彰式後、マスク姿で声援にこたえるナダル。選手のほとんどは感染防止対策に努めていたが……

ズベレフは敗戦後の会見で体調不良と

 選手側の「緩み」もあった。全米オープンの男子シングルス決勝でドミニク・ティーム(オーストリア)とフルセットの激戦を演じたアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)は、全仏4回戦でイタリアの新鋭、ヤニック・シナーに敗れた後の記者会見で体調不良を抱えていることを明かした。

「(2日前の)3回戦が終わった日の夜から体調が悪くなった。呼吸がうまくできず、熱もあった。それが少し試合に影響したと思う。プレーすべきではなかった」

 体温は38度まで上がったという。

 選手は体調に問題があった場合、大会側に申し出る必要があったが、怠っていた。ズベレフは翌日、自身のインスタグラムに新型コロナの検査で陰性だったことを示す書類を投稿した。だが、陽性の可能性もあったわけで、この一件も「結果オーライ」だったと言える。そもそも、毎日の体調を報告するよう大会側が選手に義務付けていたら、このようなことは起こらなかったかもしれない。

 もちろん、全ての選手が不平や不満を口にしていたわけではない。「自分自身はとても安全に感じる。大会側はいい仕事をしている」とコメントしたのは、男子のジョン・イズナー(アメリカ)である。

 また錦織圭も「バブルの状況は、割かしよくできているんじゃないかと思う」と言った。車いす部門男子の国枝慎吾は「全米より緩いっちゃ緩い」と認めつつ、「(観客を入れるなど)ちょっとずつ緩和していくのも必要。締めるところは締め、両方のバランスが必要」。収益の確保が必要な大会側と、安全を最優先にしてもらいたい選手側、双方の立場に理解を示していた。

全仏期間中にあったIOCバッハ会長の会見

 大会終盤の10月7日、国際オリンピック委員会(IOC)の理事会とバッハ会長の記者会見が、ともにオンラインで開かれた。本来は数カ月に1度、スイス・ローザンヌのIOC本部で開催され、世界中から五輪担当の記者が集まっていたが、3月以降はオンライン方式に変わった。

 今回は筆者も、全仏オープンの記者室からパソコンの画面を通じて「出席」した。

 7月24日に開幕する予定だった東京五輪・パラリンピックが来年夏に1年延期されたのは3月24日。世界中のあらゆるスポーツ大会の中止や延期が連日のように発表されていた頃だ。あれから半年以上が経過し、今では少しずつだがスポーツの日常が戻りつつある。全仏オープンも、その1つ。こうした事実はIOCに自信を与え、バッハ会長は先日、「来年の夏に世界がいかなる状況に直面していようと、安全な五輪を準備する」と言い切った。

【次ページ】 「東京五輪、本当に開催できるの?」

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