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全仏のユルい感染症対策は「結果オーライ」? IOCバッハ会長に東京五輪の開催を尋ねると…

posted2020/10/16 17:01

 
全仏のユルい感染症対策は「結果オーライ」? IOCバッハ会長に東京五輪の開催を尋ねると…<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

表彰式後、マスク姿で声援にこたえるナダル。選手のほとんどは感染防止対策に努めていたが……

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長谷部良太

長谷部良太Ryota Hasebe

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Hiromasa Mano

 国際列車ユーロスターの車窓から、フランス北部の田園風景が高速で流れていく。通路を挟んだ隣のテーブル席には、3人家族が座っていた。エネルギーを持て余した4歳くらいの男の子が、通路の絨毯の上を次の遊び場にしようとしている。

「ウイルスがあるかもしれないから、席に戻りなさい」とお父さん。注意を聞く様子はなく、うつぶせになったまま動かない。見かねたお父さんに強く腕をつかまれると、泣き声を上げてお母さんの胸にすがりついた。

 全仏オープンが閉幕した翌日の10月12日。昼過ぎの便でパリから自宅のあるロンドンに戻る途中の出来事だ。その前日、つまり全仏オープン最終日にフランス国内で報告された新型コロナウイルスの新たな感染者は、世界保健機関(WHO)によると2万6675人に上った。

 ウイルスの恐怖が最初に世界を襲った春先と比べ、日本と同様にフランスでも死亡率は低水準を保っているが、感染者数の爆発的な増加は日々メディアのトップニュースになり、人々の不安はむしろ増している。

 今年はコロナ禍により6~7月のウィンブルドンは中止されたが、全仏オープンは当初予定していた5~6月から、9月27日~10月11日に延期された。無観客だった8~9月の全米オープンと違い、観客の入場も認められた。

収容人数は1日1000人が上限に

 大会側は当初、収容人数の約6割となる1日約2万人の入場を目指していたが、政府の方針に従って段階的に減らし、ついには例年の35分の1となる1日1000人が上限になった。コロナ禍を理由にトップ選手を含む数名の欠場者は出たものの、約60カ国・地域から600人以上の選手が参加した。

 開幕前から欧州屈指の「ホットスポット」になっていたフランスに世界中から人が集まり、予選を含めると3週間の長丁場。振り返ると、この状況下でよく大規模な国際大会を大きな問題なく開催できたものだと感心する。

 主催者の発表によると、新型コロナ感染により欠場した選手は、予選に出場予定だった2人と、ジュニア女子の2人だけ。その他、感染が発覚したコーチと濃厚接触した数人が欠場したものの、今のところクラスター(感染者集団)の発生は確認されていない。

【次ページ】 仏テニス連盟会長は自賛するが

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