テニスPRESSBACK NUMBER
ジョコビッチ“線審不要論”に審判側の意見は? 主審への大事な修行機会だが…
posted2020/10/07 11:01
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
とうとうノバク・ジョコビッチがこのことを口にしてしまった。
「テクノロジーがこれほど発展した今、コートにラインパーソン(線審)が存在し続ける意味はまったくない。それが僕の意見だ。お金がかかることはわかる。でも僕たちが進むべき方向だと思うし、遅かれ早かれラインパーソンを置く意味はなくなる」
開催中の全仏オープンで4回戦進出を決めたあとの記者会見のことだ。全仏オープンでもライン判定補助システム『ホークアイ』を導入するべきという声が高まっていることが、この発言にいたった背景にある。
全仏オープンはグランドスラムで唯一『ホークアイ』を採用していない。クレーコートにはボールの跡が残るため、選手の求めに応じて主審がそれを確認しに行くのが慣例だ。
しかし、それでも揉めるときは揉める。今大会でもジョコビッチが件の発言をした2日前、期待の若手デニス・シャポバロフが2回戦で敗れた試合で重大な「誤審」があったとされている。中継テレビによる独自のカメラから解析されたグラフィック画像が、ジャッジとは異なる判定を示していた。
球痕の目視による判定は100%正確とはいえない。わざわざ審判台を降りて確認しに行っても、主審が示す球痕に対して選手が「それじゃない、こっちだ」と言い張るケースもあれば、同じ球痕を見てもラインにかかっているかかかっていないかで食い違うケースもある。
ただし、ルール上、主審の主張が絶対であるため、シャポバロフの件を受けて『ホークアイ』必要論が持ち上がっているのだが、ジョコビッチはさらに踏み込んで線審不要論まで言い出した。