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無敵すぎたゆえの苦悩 “5冠後”のバイエルンはどう徹底研究に立ち向かうのか
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/10/06 20:00
あれだけ昨季完成度が高かったバイエルンだが、まさか1-4で敗れるとは……
チアゴ、コウチーニョらが去った中で
いずれにしてもインテンシティを高め続ける戦いが難しくなる中、相手の対策をしのぎながら勝ち点を積み重ね続けていくためには、システムや戦い方を変更・調整しながら、選手起用やローテーションを適切に行っていかなければならない。
これは今季フリック監督が挑戦しなければならない必須事項だ。そのためには選手の質と量が十分に備わっていることが重要になる。
昨季メンバーからレンタル移籍組のイバン・ペリシッチ(→インテル)、コウチーニョ(→バルセロナ)、(→レアル・マドリー)がそれぞれ元所属クラブへ復帰。中盤の柱の1人だったスペイン代表チアゴ・アルカンタラはリバプールを新天地に選んだ。
新加入のレロイ・サネが膝の負傷で数週間離脱。コマン、アラバ、ゴレツカ、ボアテンクは負傷がち。ズーレは十字靱帯断裂からの復帰でまだ完全復調というところまでは戻ってきていない。デイビスとパバール、ニャブリはまだ好不調の波がある。
レバンドフスキ、ミュラー、キミッヒ、ノイアーの主軸は健在だが、もしここに1人でもけが人が出てしまったら?
そこでハサン・サリハミジッチSDは選手補強のために移籍市場が閉まる直前に駆け込みでアクティブに動き、エスパニョールからマルク・ロカ、パリSGからエリク・マクシム・シュポ・モティン、マルセイユからボウナ・サール、そしてユベントスからドウグラス・コスタの獲得に成功。これで戦力は整った。さらにフリック監督は若手のクリス・リチャーズ、ハマル・ムシアラらも積極的に起用し、抱える選手層を最大限に活用していこうとしている。
「選手は成功を渇望している」
簡単なシーズンにはならない。そんなことはわかっている。レバンドフスキは授賞式で「僕らが今一番上に立っていることをわかっている。来季はどのクラブも僕らを倒そうと挑んでくる。その準備をしていかないといけない。昨シーズン以上の挑戦となるだろう」と決意を新たにしていたが、これはまさにチームの思いを代弁しているのではないだろうか。
誰もが5冠にも満足せず、さらに野心的にさらに成長するために取り組もうとしている。フリック監督も「バイエルンでプレーする選手は成功を渇望しているし、自分たちの実力を証明しようという意欲にあふれている」とチームの心構えに絶大な信頼をしている。