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「あなたが受け取ったメッセージは何ですか?」22歳の女王・大坂なおみは米国でどう評価されているのか

posted2020/09/14 20:00

 
「あなたが受け取ったメッセージは何ですか?」22歳の女王・大坂なおみは米国でどう評価されているのか<Number Web> photograph by AFLO

2年ぶり2回目の全米オープン制覇を成し遂げた大坂なおみ選手。

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竹田ダニエル

竹田ダニエルDaniel Takeda

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 9月12日、無観客で開催された四大大会の一つである全米オープンの女子シングルス決勝で、大坂なおみ選手がベラルーシのビクトリア・アザレンカ選手を破り、2018年以来2度目の全米オープンのタイトルを獲得した。23歳未満でメジャー3冠を達成したのは、2008年にマリア・シャラポワが達成して以来初めてである。しかし女子アスリートとして歴代最高の高給取り(フォーブス調べ)の22歳が成し遂げた偉業は、スポーツにおける実績だけでは決してない。

 私は、大坂選手と同じハーフで、同世代。そして現在アメリカで暮らしている。この記事では、彼女のこれまでの言動と英語圏で報じられている大坂選手の活躍に関するニュースを振り返りながら、「私はアスリートである前に黒人女性です。」と語る彼女がどのように取り上げられているのかを紹介したい。

大坂なおみの7枚のマスクは多くの人を「当事者」にした

 いま、アメリカから広がっている人種差別反対運動は、「Black Lives Matter」が合言葉になっている。不当に黒人を殺害した警察官たちがあまりに多くの場合で罪に問われていない現状や、その犠牲となった人たちの名前をSNSやメディアを通して何回も社会に思い出させることが必要であること(“Say Their Names(彼らの名前を言おう)”)が特にネット上においてBlack Lives Matter(以下BLM)の中心的メッセージだ。

 大坂選手が人種差別問題への啓蒙を行うために、殺された黒人たちの名前(Breonna Taylor、Elijiah McClain、Ahmaud Arbery、Trayvon Martin、George Floyd、Philando Castile、Tamir Rice)が書かれたマスクを7枚用意し、世界中の人々が注目する全米オープンの各ラウンドで着用したことは、「#Say Their Names」というハッシュタグをよりリアルに、より広く伝える行動だった。大坂選手は決勝後のインタビューで記者から「7回の試合で7枚のマスクを使いましたが、伝えたかったメッセージは何ですか?」と聞かれ、「あなたが受け取ったメッセージは何ですか?というのがより重要な質問です。社会が問題提起を始めることが意義であり目標です」と答えている。

 警察官に殺された黒人たちの名前が書かれたマスクを着用することで、模範的な声の上げ方で社会へ問題提起を行い、殺人を犯しているのに警察官たちが罪に問われない事実を人々に伝え、「それっておかしいんじゃないの?」と考えるきっかけを与えた。大坂なおみはスポーツを通して、世界中の観衆をこの問題の「当事者」にしたのである。

「ウェスタン&サザン・オープン」準決勝のボイコット

 アメリカにおける長年の制度的人種差別や構造的人種差別に対する反対運動は、様々な条件が揃ったことによって、ここまでのムーブメントとして拡大してきた。そのなかで大坂選手もBLMに関する情報をSNSで共有し続けてきている。ときには、「スポーツに個人の意見を持ち込むな」と彼女の言動を否定的に捉える人々もいたが、そういうコメントに対して反論することもあった。そしてその言葉を実際に行動にも移していく。

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