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どうなる2020年ジェイミージャパン。幻の“エイトネーションズ”、11月はNZ遠征に? 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNaoya Sanuki

posted2020/09/04 11:50

どうなる2020年ジェイミージャパン。幻の“エイトネーションズ”、11月はNZ遠征に?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

この秋の代表活動はいまだ不透明の状態。W杯後初となる代表マッチを望むファンも多いことだろう。

両方にいい顔をしなければいけない。

 スーパーラグビーからサンウルブズが除外された今、日本代表の継続的な強化を図るには、どこのグループに入っていくのがよいのか。選手の負荷と福利厚生(ウェルフェア)も視野に入れて強化の枠組みを作る必要がある。今年11月に計画された「エイトネーションズ」はあくまで欧州が視点の経過措置だ。国際交流カレンダーが来年以降、通常に戻れば、やはりオールブラックスなど南半球上位国が南北交流の主役になるだろう。

 当然、日本もそこに加わりたい。そのためには欧州での大会に参加して実績を作っておきたいともいえる。サロンに入室を許されたのなら、入っておかないと次の機会はなかなか巡ってこない。入っていても保証はないのだから。

 一方で、日本はこれまでずっと、南半球と連携して強化を進めてきた。ジェイミー・ジョセフHCを始め、コーチングスタッフはニュージーランド人が多くを占める。15人制シニアの日本代表だけでなく、男女、ユース、さらにトップリーグから大学、高校に至るまで個別のチーム単位でも個人レベルでも交流は深い。文化的にも経済的にも、ニュージーランド、オーストラリアの両国との交流が日本ラグビーの存立基盤であることはおそらくこの先も変わらない。

 だが2023年W杯フランス大会を考えれば「欧州慣れ」も必要だ。日本は両方にいい顔をしなければならないのだ。

欧州遠征断念の背景にあるもの。

 8月28日、日本は「エイトネーションズ」への参加を見合わせたことが明らかになった。理由には現在ニュージーランドに滞在しているジョセフHCをはじめ、スタッフが来日する見通しが立たないこと、各チームも始動していないこと、つまりテストマッチシリーズを戦う準備は間に合わないことなどが上げられた。とはいえ、それらの要素は、本気でやろうとするなら越えられる要素に思える。ハードルは高いがリターンも大きい。

 実は、決め手は別のところにあった。日本協会のある関係者は、行政筋の意向があったことをにおわせた。コロナ感染以降、先日のゴルフ全英女子オープンのように個人単位では海外のリーグや大会に参加する選手が現れているが、団体チームが国外に遠征した例はまだない。その段階で、感染状況が異なる複数の国を移動しながら試合をするのはいかがなものか、という示唆があったようだ。9月1日現在、英国とフランスは日本からの渡航者に対する入国および入国後の行動制限措置をとっていないが、イタリアとアイルランドは入国後の行動制限措置をとっている。それも今後緩和されるかその逆かは分からない。

 では日本代表は、このまま何もせずに2020年を見送るのだろうか。

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