ラグビーPRESSBACK NUMBER

大物が続々参戦、トップリーグの「ユニークな魅力」。再開へ舵を切る世界のラグビーとの違いとは?  

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byAFLO

posted2020/09/04 11:45

大物が続々参戦、トップリーグの「ユニークな魅力」。再開へ舵を切る世界のラグビーとの違いとは? <Number Web> photograph by AFLO

「スーパーラグビー・アオテアロア」の開幕戦には4万人超の観客が。ファンと撮影するボーデン・バレットも来季からサントリーに加入する。

再開の舵を切った欧州ラグビー。

 Withコロナでラグビー再開に舵を切ったのはヨーロッパだ。

 3月から中断していたイングランドの「プレミアシップ」は8月14日に再開した。松島幸太朗が身を投じた「フランスTOP14」は9月5日に新シーズンが開幕する。

 松島は8月17日に行われたオンライン会見でチームのコロナ対策について「週イチくらいのペースで全員PCR検査を受けています。選手もみんな敏感で、こまめに手洗い消毒をしています」と話した。松島自身、「コロナのこともあるし、ほとんど外出はしません」という。渡仏後、最初のオフにチームメイトと出かけた先はモナコ。その理由も「コロナの感染者が少ないと聞きましたから」だった。現地でも念のため、ソーシャルディスタンスを保ちながら過ごし、移動も公共交通機関は使わずクルマを利用したという。

なぜ彼らは「再開」を急ぐのか?

 海外でスポーツ再開を急ぐように見えるのは、彼らの多くがプロだからだ。プロフェッショナルである以上、試合をしなければ収入が発生しない。クラブが立ちゆかない。仮に無観客でしか開催できなくても、試合をすればテレビ放映権料が発生する。それはどのスポーツにとっても同じだ。自分たちが休んでいる間に、いち早く活動を再開した他のスポーツにファンの関心が移ってしまうことを防ぐというリアルな動機もある。出遅れはクラブの、ひいてはそのスポーツの存立を脅かす。

 対して、日本のトップリーグは再開の気配がない。2019-2020シーズンタイトルをかけたリーグ戦を約5カ月遅れで再開させた欧州と異なり、トップリーグは3月の時点で打ち切りを決めた。

 日本のトップリーグはすべてが企業の予算で運営されるチームであり、競技収入によって運営するプロ組織ではない。それゆえ、試合が行われなくても選手の給与カットや契約解除といった切ない話題は(表だっては)発生していない。もともと競技収入を前提としていないから、試合をしないことによって自分たちの存立基盤が崩れるわけでも(当面は)ない。

【次ページ】 大物を引き寄せる「安定感」。

BACK 1 2 3 NEXT
松島幸太朗
ボーデン・バレット
アーロン・クルーデン
ベン・スミス
マルコム・マークス
マカゾレ・マピンピ
グレイグ・レイドロー
マイケル・フーパー
フランコ・モスタート

ラグビーの前後の記事

ページトップ