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レバンドフスキ、ノイアー達の献身。
バイエルンの凄みと監督のビデオ。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/08/31 11:50
CL優勝メダルとともに満面の笑みのレバンドフスキ。当代ナンバーワンのセンターフォワードであることを証明した。
ペップと出会い成長したキミッヒ。
ジョゼップ・グアルディオラと出会わなければ、ヨシュア・キミッヒは今のレベルまで到達できただろうか。
もともとインテリジェンスの高い選手だったが、ペップ時代に様々な戦い方を吸収したことで彼は大きく成長した。ピッチ上で起きるすべてのプレーを把握していると思わせるぐらい、キミッヒはプレー判断に優れている。
決勝点のアシストも素晴らしいが、チアゴからのパスを“あの位置”で受けられるSBが世界にどれだけいるだろうか。パリSGの3枚の中盤の後ろ、4バックの前というこれ以上ない位置にフリーで入り込み、あのパスを引き出した。
ワイドに開くだけでなく、どこでパスを受けると相手が嫌なのかよくわかっている。相手の背後を狙うのは大事なポイントだが、相手もそこを集中的に守ってくる。だからこそ崩れた瞬間を見逃さずに、スペースを生かせるかが重要になる。それをキミッヒは確実に実行した。
古巣PSG相手に結果を残したコマン。
そして、フィニッシャーとなったキングスレー・コマンだ。
決勝戦、これまでメンバーを固定して戦ってきたバイエルンで唯一の変更点がコマンのスタメン起用だった。イバン・ペリシッチは準々決勝のバルセロナ戦、続くリヨン戦で攻守にわたって重要な役割を担っていた。だからこそ、決勝戦はペリシッチでスタートというのが大方の識者の見方だった。
だが、フリック監督は違う見方をした。
コマンがパリSG出身の選手だということも1つの要因だろう。古巣との対決、それがCL決勝という最高の舞台だったら、モチベーションは半端ではない。そして、どこかで違いを生み出す選手が必要だとも感じていたはずだ。
コマンの課題は得点力だった。どれだけすごいドリブルを見せても、それを得点に結びつけられないと自分の立ち位置はいつまで経っても変わらない。その取り組みが、最高の舞台で、最高の結果として生まれた。
「僕のサッカー人生で最高の日だ」
初の国際タイトルを手に、コマンは笑った。