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レバンドフスキ、ノイアー達の献身。
バイエルンの凄みと監督のビデオ。
posted2020/08/31 11:50
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
試合終了の笛が鳴った瞬間、バイエルンのロベルト・レバンドフスキは地面に倒れ伏し、両こぶしを力強く握り締め、歓喜の涙を流していた。
非常に組織立った守備を見せたドイツ王者は、ブラジル代表ネイマール、フランス代表キリアン・ムバッベ、アルゼンチン代表ディマリアらを擁するパリSGを1-0で下し、夢に見続けた欧州チャンピオンズリーグ優勝を果たした。
それは、長い長い戦いだった。
2013年、CL決勝。レバンドフスキはドルトムントの選手として、優勝したバイエルンを横目に悲嘆に暮れていた。
何としても、あのトロフィーを手にしたい。そうした思いからバイエルンへの移籍を決断する。だがそれ以降、バイエルンは3度もCL準決勝まで進出したものの、決勝の舞台に立つことができなかった。
レバンドフスキ自身、うまくいかずイライラをぶつけることもあった。いつかはR・マドリーでプレーしたいという強い思いも抱いていたので、移籍の噂がメディアを賑わすこともあった。
だがいつの日からか、バイエルンでCLを制することの方が自分のなかで大きくなり、レバンドフスキは変わった。
ゴールだけでなく、チームで戦う。
ゴールがすべてではない。自分の満足度だけが大事ではない。チームとして、どのように戦えばいいのか。
「自分から指示を出す選手が少ない。若い世代の選手は話すことに不安があったり、そもそも話したくなかったりするのかもしれない。SNSでのやり取りがコミュニケーションと思っているようにも感じる。彼らは、まったく別の文化に生きているのかもしれない」
それでもレバンドフスキは若手に積極的に声をかけ、チームを引っ張る存在になるため、責任感を持ってプレーすることを自分自身に課している。
攻撃だけではなく、守備にも精力的に関わる。
CL決勝でも試合開始直後、すぐに駆け出した。