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両国国技館へ「Go To トラベル」。
食べたい焼き鳥に、静かなる熱狂。 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byKyodo News

posted2020/07/31 08:00

両国国技館へ「Go To トラベル」。食べたい焼き鳥に、静かなる熱狂。<Number Web> photograph by Kyodo News

7月場所9日目。玉鷲に勝利した琴奨菊(左)は、ライバル稀勢の里の記録を上回り、幕内通算715勝目を挙げた。

焼き鳥を素早く口に……。

 実際に館内全体を見渡しても焼き鳥を食べている観客は見当たらない。大げさに言ってるのではなく客数が少ないからかなり確認できるのだ。なのでしばらく我慢を続ける。しかし中入りも進み、好取組が続くと気分が上気して緩みたくなる。私は意を決して焼き鳥のふたをとった。10本あるなかの1本を素早くとり、口にする。

 ……う、うまい。

 でも周囲の目を気にしながら食べるこの感じ、完全に盗み食いである。罪の意識。でもおいしすぎて3本いってしまった。

 ああ、この状況でも相撲は面白くて焼き鳥は美味いのだから、これが普段のように飲んで食って談笑しながら相撲見たらどんなに楽しいか。日常のありがたさをここで痛感してしまった。

観戦、鑑賞もいいけど。

 もちろん、静かに集中して相撲を見るメリットもある。格闘技としての凄さを堪能できるからだ。「相撲観戦」「相撲鑑賞」というニュアンスだ。でも昔ながらの「相撲見物」というにぎやかそうな言葉も尊く思えたなぁ。

 そんなことを考えていると面識のある記者の方が私を見つけて席にきてくれた。 記者は静かな国技館の状況を「団体客は当然ながらいない。普段と比べて館内をウロウロしてる人もいない。平日の興行に1人で来る熱心でガチな人が多いから、集中していてなおさら静かなのでは」という見立て。

 しかしお上品に見ていても、熱戦になって贔屓の力士が勝利する瞬間、思わず「……ヒっ!」とこらえきれずに体が飛びあがってしまう人も。その気持ちわかります。注意していても体が反応してしまうのだ。

 国技館にも”静かなる熱狂”は発生していたのである。

【次ページ】 琴奨菊の背中、北の富士の「肉を食え!」

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