武蔵丸の辛口御免 Oh!相撲BACK NUMBER
気迫で優勝の照ノ富士と両横綱の停滞。
辛口の武蔵丸が7月場所を徹底検証。
posted2020/08/03 20:00
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph by
Kyodo News
照ノ富士の復活優勝が大きな話題になったね。元大関が序二段まで番付を落としての再入幕。前頭17枚目、幕尻での優勝だった。
相撲自体は、昔と変わってないんだ。力任せの取り口は相変わらず。
もう少し膝を曲げて、立ち合いもちゃんと手を付けばよいのに――と思っていたら、どうやら「膝が伸びなくなってしまって、土俵から下りるのもきつかった」と、場所後に言っていたとのこと。今後も、さらにケガに気を付けなきゃな。
それと、今場所は、よく相手を見て分析していたね。相手が最初の一発目でどう出てくるか、足の出てくるところなどを、よく見ていたんだ。
顔付きも気迫も違った。
「気持ちの勝利」だと思うよ。
ひとり大関としてよく頑張った朝乃山。
新大関として土俵に上がった朝乃山だけど、照ノ富士と逆で土俵に上がる前から、顔が緊張しているのがわかる。優勝争いで負けられない14日目。照強戦で足を取られ、ひっくり返って3敗目となってしまった。
白黒の世界だから「勝てば良し」とはいえ、照強はその後のインタビューで「昨日の夜から付け人と足取りの練習をしていた」とかなんとか、興奮してペラペラ喋り過ぎだよ。そういうのは相手に失礼なの。礼儀が足りないよ。
朝乃山は、千秋楽の正代戦もそうだったけど、立ち合いがあまりよくなかったね。上から左上手を取りにいってるんだよな。それまでは、当たって右差して左前みつを取って、といういい形だったんだけど、その形が中日あたりから崩れてきた感じ。
でも、両横綱も、もうひとりの大関の貴景勝も休場したなかで、ひとり大関として最後までよくやったと思う。
まだ新大関なんだから、来場所に期待してるよ。