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エスパルス初勝利は急上昇への兆し?
クラモフスキーが掲げる超攻撃主義。
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/07/27 11:40
7戦目でようやくつかんだ初勝利を挙げた清水エスパルス。選手たちからは安堵の表情も窺えた。
主力組の復帰、レギュラー争いも激化。
となると、気になるのがここから先の戦いだが、好材料は揃っている。まずは開幕前から戦列を離れていた主力組の復帰である。中でも昨年から攻守の起点となっているDFエウシーニョとMFヘナト・アウグストが揃ってピッチに戻ったことは相当な追い風だ。エウシーニョは大分戦でも序盤から積極的に高い位置をとり、惜しいシュートを連発。そして前節から先発に戻ったヘナトはゴールをアシストするなど、チームの初勝利に大きく貢献した。
多くの選手の戦列復帰は、ポジション争いをより熾烈にする。今季は4-3-3のフォーメーションを採用しているが、中でも3トップとトップ下の4ポジションは、タイトな日程の中で試合ごとに選手の顔ぶれが変わる。その出場チャンスに良いパフォーマンスを見せなければ、次はベンチスタートの可能性が高くなる。
その争いが大分戦の初勝利を呼び込んだと言っても過言ではない。MF西澤健太は昨季はルーキーながらチーム2位の7得点を決め、シーズン序盤にほぼ定位置を獲得したが、今季はベンチスタートが目立っていた。
先発の機会を与えられた大分戦では奮起して、セットプレーのキッカーとして全4得点を演出。「練習で手ごたえがあった。セットプレーはキックの質が重要になる」と、まさにハイレベルなキックで快勝に貢献した。自らのビッグな得点チャンスを決めることができなかったため「もっと精度を高めて決めないと」とポジション争いを勝ち取るために、さらなる貪欲さも示していた。
2年目GK梅田、ルーキーMF鈴木。
ポジション争いには、西澤以外の若手も参戦する。タイトな日程で多くの選手の出場が必要とされている中、層の厚さは必須。7月4日の第2節にはユース出身の2年目GK梅田透吾と市立船橋高出身のルーキーMF鈴木唯人が揃って先発した。
ブラジル出身のGKネト・ヴォルピら先輩4選手を押しのけて先発した梅田は以来6戦連続出場し、至近距離からのシュートを止めるなど好セーブを見せている。「止めてもいるけどミスも失点もある。改善して無失点を目指す」とチームの勝ちにつながるような一層レベルの高いプレーを自らに課している。
MF鈴木は、高卒ルーキーでの第2節先発はクラブ史上最速だった。周囲の声に反して自身は「とくに驚きはない」と大物ぶりを発揮。1年延期となった東京五輪も狙える世代であり、「結果を残さないといけないので5得点は欲しい」と大舞台への挑戦も視野に入れている。