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ホークスを福岡に持ってきた男の夢。
2つのドーム構想と、令和の完成形。 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKyodo News

posted2020/07/28 11:30

ホークスを福岡に持ってきた男の夢。2つのドーム構想と、令和の完成形。<Number Web> photograph by Kyodo News

「BOSS E・ZO FUKUOKA」の開業記念式典に参加した王貞治会長。施設内には、チームラボによるミュージアムなど多様なテナントが入る。

福岡ドームは870億円だった。

 自前で球場を保有する球団の中でもやはり勢いが目立つのはホークスだ。

 今季から福岡PayPayドームに改称された本拠地は、1993年に福岡ドームの名で開業した。ソフトバンクが親会社となり、特に2012年に球団が870億円を投じて球場買収して以降は自由度が増したことで積極的な改築が行われてきた。

 そして2018年には球団創設80周年、翌2019年の福岡移転30周年という、記念すべき節目の年に際し、次世代型複合エンターテインメント空間の創出を目指す「FUKUOKA超・ボールパーク宣言」を行った。

 2018年はホークスの伝統を重んじ、野球の魅力を伝える企画を展開。2月に宮崎で行った巨人とのOB戦はその一環だ。野村克也氏が南海ホークスのユニフォームに袖を通したのは大きな出来事だったし、今思えば実施していて本当に良かったと思える催しだった。

 2019年はドームの大改装を行い、ホークスビジョンやコンコース、スタンドを大幅にリニューアルした。福岡でファンと共に歩んできた30年の感謝を伝えたいという球団の思いが込められていた。

プロスポーツチームが運営する初のフードコート。

 そして2020年。奇しくも巨人の発表の翌日だった7月21日、PayPayドームのすぐ隣に「BOSS E・ZO FUKUOKA(ボス イーゾ フクオカ)」を開業させた。

「世界に誇れる多彩な革新的コンテンツを展開。ドームと、ドーム周辺のエンターテイメント化の実現に向けて大きな第一歩」(球団公式サイトより抜粋)

 地上7階建て。外から眺めると屋上にはくねくねとしたレールが設置されている。これは「つりZO」というアトラクションで、1人用のぶら下がり式コースター。また、壁面には日本初の建造物に付随したチューブ型スライダーもあり、40mの高さから一気に地上まで滑り降りるスリルを味わえる。

 そのほかに吉本興業の劇場や人気アイドルグループ「HKT48」の専用劇場といった笑顔になれる生のプロフェッショナル・エンターテインメントにふれることの出来る施設があったり、3階のフードエリアの8店舗は日本初上陸が3店舗、九州初上陸が2店舗、有名店による新ブランド2店舗というこだわりの強いラインナップとなっている。

 この「The FOODHALL」は日本で初めてプロスポーツチームが運営するフードコートとなっている。

【次ページ】 王会長「何でも持っていって」

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