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久保建英の秀逸ゴールと徹底マーク。
中西哲生が見た急速な成長の証。
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2020/07/14 20:00
久保建英がマジョルカから、相手チームから受ける視線は試合を重ねるごとに熱いものになっている。
セビージャは久保を徹底マークした。
2日後のセビージャ戦は、相手の戦略から久保の価値が理解できました。
マジョルカの攻撃は、久保とポソが形成する右サイドを生命線としています。レバンテ戦の1点目も、ポソのクロスから生まれていました。
セビージャは再開後負けなしで、3連勝中でした。好調を持続している相手が、久保を厳重に警戒してきたのです。
スタメンのチョイスから選手交代までが、マジョルカの右サイドを意識したものでした。ピッチ上では同サイドのサイドバック、インサイドハーフ、ウイングと、3方向から久保を包囲してきました。
そのうえで、アプローチがいつもよりワンテンポ早く、スライディングはいつもより深かった印象です。元アルゼンチン代表でインサイドハーフのエベル・バネガも、久保にスライディングを浴びせてきました。
崩しの局面でパートナーとなるポソも、この日は精彩を欠きました。セビージャからレンタル移籍しているだけに、特徴を把握されていたことも影響したのでしょう。右サイドにフタをされたマジョルカは、セビージャを苦しめることができずに敗れてしまいました。
6月のリーグ戦再開からセビージャ戦まで、久保は週2試合を上回るハイペースでピッチに立ってきました。フィジカル的にもメンタル的にも、ギリギリのところで戦っていると想像します。しかも、紛れもない攻撃の中心選手として、勝敗の責任を背負っている。
伸び盛りの才能にとっては、このうえないシチュエーションと言っていいでしょう。1部残留を賭けた残り2試合はこれまでよりさらにタフなものであり、それだけに価値ある経験となるはずです。