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久保建英の秀逸ゴールと徹底マーク。
中西哲生が見た急速な成長の証。

posted2020/07/14 20:00

 
久保建英の秀逸ゴールと徹底マーク。中西哲生が見た急速な成長の証。<Number Web> photograph by AFLO

久保建英がマジョルカから、相手チームから受ける視線は試合を重ねるごとに熱いものになっている。

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中西哲生+戸塚啓

中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka

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 久保建英にとって初めてのラ・リーガが、ついに終わりへと近づいている。

 再開初戦となった6月13日のバルセロナ戦から7月12日のセビージャ戦まで、久保は9試合連続で先発している。

 そのうち4試合はフル出場で、もっとも短いプレータイムでも60分である。降格ゾーンから抜け出せずにいるチームにあって、「TAKE」は間違いなく取り換えの利かない選手なのだ。

 日本時間7月9日の深夜に行われた35節のレバンテ戦では、再開後初となるシーズン4得点目をゲットした。終盤のダメ押し弾は、2-0の勝利を呼び込むものとなった。

 日本時間13日早朝には、セビージャ戦に挑んだ。元スペイン代表監督のジュレン・ロペテギが率いるアンダルシア州の雄は、チャンピオンズリーグ出場圏内の4位確保に接近している。一人ひとりのクオリティを比較しても、マジョルカにとっては難敵だ。

 結果は0-2の完敗だった。

 シーズン最終盤を迎えて、久保のプレーに変化は見られるのか。馴染みの中西哲生氏に解説してもらおう。名古屋グランパスと川崎フロンターレでプレーした氏は、バルセロナの下部組織に在籍していた当時から久保を知り、その成長プロセスを定期的かつ間近で見つめてきた。現在も継続的にコンタクトをとっており、技術からメンタルまで幅広くアドバイスをしている。

◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 レバンテ戦のマジョルカは、40分に先制点を奪うことができました。クチョ・エルナンデスが決めたヘディングシュートは、ホームで勝点3を絶対に獲らなければいけない、というプレッシャーをやわらげたはずです。

 1-0としたあとのマジョルカは、失点をしないように注意しながら追加点を狙っていきました。そもそもボール保持率で相手を上回るスタイルではなく、久保はボールを受けても孤立する場面が目立ちます。とくに後半については、ボールへの関わりがここ最近の試合のなかではかなり少なかったと言えます。

 中2日でセビージャ戦が控えていることを考えれば、久保を早めに下げても良かったでしょう。交代枠の余裕もあった。しかし、ビセンテ・モレノ監督は背番号26を下げません。

 指揮官の判断は、84分に追加点を生み出します。

【次ページ】 こぼれてきたのではなく、察知していた。

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