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内山高志、TKO勝ち。両目とも腫れ、
視界がない三浦隆司が「もう無理」。
posted2020/07/14 11:10
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
日本人同士の“強打者対決”となった2011年の世界タイトルマッチを振り返る特集、全3回中、3回目の記事です。
第1回「内山高志×三浦隆司の強打者世界戦。KO必至の試合前、右拳を痛めた王者」、第2回「三浦隆司の左が炸裂、内山高志がダウン。しかし見えた“勝ち筋”。」は記事最終ページ下にある「関連記事」からご覧ください。
第1回「内山高志×三浦隆司の強打者世界戦。KO必至の試合前、右拳を痛めた王者」、第2回「三浦隆司の左が炸裂、内山高志がダウン。しかし見えた“勝ち筋”。」は記事最終ページ下にある「関連記事」からご覧ください。
“アフターダウン”のラウンドは、勝負の分水嶺となりやすい。
ダウンを奪ったほうは一気にカタをつけにくるし、奪われたほうは形勢逆転を試みようとする。
4ラウンド、奪われたほうの内山高志のジャブは“ふわっ”から“びしっ”に変貌した。
ステップを細かく踏み、軽やかにチャレンジャーの顔面を捉えていく。左回りではなく、右回りが軸。インサイドからジャブを受ける三浦隆司はなかなか前に出ていけない。
「体が覚えてしまっているので、修正が難しい」
三浦の述懐。
「内山さんにはダメージが残っていると思い、攻めにいこうとしました。でもそこから段々とジャブが強くなって、1ラウンドに感じたジャブじゃないんです。ガンガンガンという感じで。
1ラウンドに“もらっても大丈夫”って体が覚えてしまっているので、修正が難しい。それに修正できる力もない。だからもらい続けてしまった」
右拳の負傷、目の上のカット、ダウン。
この三重奏の苦境を乗り切るにはジャブを主体に、アウトボクシングに徹していくしかないと結論づける。内山は言う。
「オーソドックスのボクサーは基本左回りなんですけど、右に回ることで内側からジャブを入れやすくなる。フックをもらう可能性はあるんですけど、集中していればそこは大丈夫なので。
僕は高校からアウトボクシング主体。チャンスと思ったら踏み込んで打ちまくるというスタイル。プロになってもそんなに変わってない。三浦のストレートはすっと伸びてくるんで、そこはもう慎重に戦おうと。そんな感じでしたね」