バスケットボールPRESSBACK NUMBER
来年秋にNCAA1部に編入が決定!
富永啓生、NBAシューターの道へ。
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byMiho Aoki
posted2020/07/07 15:00
オンライン会見に臨む富永啓生。1年目のシーズンは31試合に出場、1試合平均16.8得点、3点シュート成功率47.9%の記録を残した。
シューターの絶対条件は「打ち続ける」。
とはいえ、その境地に至るまでに、富永は大きな重圧にさらされてきた。
シューターの絶対条件とされている行動がある。シュートの調子がよかろうが悪かろうが、40分間、常にそれを打ち続けることだ。入ればヒーロー、入らなければ地獄。それでも打つ。
富永は桜丘高時代、「日本を代表するシューターになってほしい」という江崎悟コーチの方針で、下級生の頃から飛びぬけて多くシュートを打っていた。
他の選手なら絶対パスというシチュエーションでも、「お前はシュートを打って、決めてこい」というのが指揮官の教えだった。
ウインターカップでは、1人でチーム全体の6割近い数の3ポイントを打ち、2ポイントを含めてもそれは4割を超えていた。
自分のシュートがチームの勝敗を握る──。それを常に自覚させられる環境で、富永はシューターに必要不可欠なメンタリティを養った。
泣きながらシュートを打っていた。
前兼久さんには、忘れられない光景があるという。高校2年次のインターハイ3回戦。負けが濃厚となった試合終盤、泣きながらシュートを打つ富永の姿だ。
映像を確認してみると、富永は確かに、試合終了のブザーが鳴る直前までシュートを打っていた。
人より多くのシュートを打ってきた少年は、それを外し、自分が仲間を負けさせる経験も人一倍してきたのだ。
「エースとしての責任と自覚も、彼のメンタルを支えるものだと思います」
前兼久さんはそう話した。