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来年秋にNCAA1部に編入が決定!
富永啓生、NBAシューターの道へ。
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byMiho Aoki
posted2020/07/07 15:00
オンライン会見に臨む富永啓生。1年目のシーズンは31試合に出場、1試合平均16.8得点、3点シュート成功率47.9%の記録を残した。
挑戦することに対して恐怖心がまったくない。
高校2年次からアメリカに渡ったテーブス海(宇都宮ブレックス)は、「海外挑戦に必要なもの」をテーマにしたインタビューで、富永の名前を挙げた。
「日本人がアメリカでプレーしようと思ったら、アメリカ人に負けない闘争心やメンタルの強さを育てなければいけませんが、もともとそれを持ってる人もいると思います。
例えば富永くん。ポンとあっちに行って『もう余裕』みたいな感じですよね。きっと彼は、アメリカに挑戦することに対して恐怖心がまったくない。ああいう人が、アメリカでどんどん活躍できる選手なんだと思います」
断っておくが、2人に筆者から富永の話題を向けたわけではない。それにも関わらず、2人のトッププレーヤーが富永のメンタリティについて言及したという“偶然”は、大変印象に残るものだった。
そして、この証言が頭にあったから、富永の「(アメリカで心細かったことは)あんまりなかった」という返答は、ある意味答え合わせのようなものだった。
「ボールをリングに入れること」が好き。
馬場もテーブスも、富永とさほど親交はない。近しい人間から見た彼の姿は、また異なるものだったりするのだろうか。桜丘高のトレーナーとして富永の3年間を見守った、前兼久俊一さんにコンタクトを取った。
アメリカからも定期的な連絡を受け取っていたという前兼久さんは、彼のマインドについて以下のような意見を述べた。
「彼の近くで過ごして感じていたのは、啓生は、とにかくシュート、もっと厳密にいえば『ボールをリングに入れること』が好きだということ。おそらく、その感情が恐怖や不安といったものを超えてるんだと思います」
マークがいようがいまいが、お構いなし。とにかく楽しそうに、打って、打って、打ちまくる(そして決める)。富永がウインターカップで見せたこのようなプレーに、爽快感を覚えた人は少なくないだろう。