パラリンピックPRESSBACK NUMBER
国枝慎吾のバックハンドに興奮した、
「ウィンブルドンの違和感」の正体。
text by
吉村もとMoto Yoshimura
photograph byMoto Yoshimura
posted2020/06/28 08:00
バックハンドとチェアワークを武器に世界トップ選手として戦う国枝慎吾。
リオの敗戦からすべてを変えた。
2019年秋に行われた楽天オープンで1年ぶりに撮影した国枝選手のバックハンドは、エレベーターで生まれた形からさらに進化してインパクトがより力強くなり、相手に時間を与えないものになっていた。フォアハンドのインパクトもさらに強さを増し、一段上の強さを手に入れた印象を受けた。
国枝について忘れられないエピソードがもう1つある。
2009年、北京パラリンピック後の取材で、「海外の選手はみなプロとして活動している。僕は所属先があって守ってもらっている状態。それでは貪欲さで負けてしまう。彼らと同等に戦うため、勝つためにプロに転向することにした」と話していた。
今のような企業によるサポートもほとんど無かった時代に、1人世界の戦いの場に立ち向かう姿が記憶に残っている。
リオ大会の敗戦から4年、コーチが代わり、車いすの高さを調整し、ラケットメーカーも変わった。そしてバックハンドを含む、テニスそのものも。
強くなるために、勝つためにどこまでも貪欲である姿を、私はこれからも、一番近い場所(フォトポジション!)から楽しみたい。