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マンCの通常運転、黙祷、BLM運動。
悲劇も差別も乗り越えプレミア再開。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byGetty Images

posted2020/06/21 11:50

マンCの通常運転、黙祷、BLM運動。悲劇も差別も乗り越えプレミア再開。<Number Web> photograph by Getty Images

「Black Lives Matter」を象徴する片膝付きポーズを取るアーセナルのオーバメヤン。世界の今を象徴する1枚だ。

2失点に絡んだD・ルイスは……。

 2失点に絡んだダビド・ルイスも、た本人には気の毒だが「見慣れた姿」だった。9年半前、チェルシーの新CBとしてプレミア初登場した当時から変わらない、集中力の問題による致命的ミスだ。

 試合後、自らの意思でテレビカメラの前に立ち「すべて自分の責任だ」と認めたように、男気あるブラジル人を「好きな選手か?」と訊かれれば「イエス」と答える。しかし「プレミア級のDFか?」と問われると同じ答えは返せない。

 1失点目の場面は、先発したパブロ・マリの負傷で予想外にベンチを出た直後のこと。手前でバウンドしたデブライネのクロスが、雨に濡れたピッチで予想以上に速かったのだとしても、ボールが膝の上あたりに当たった守備は明らかな失策。そして敵にPKを与え、自身はレッドカードをもらった2失点目に繋がるファウルは、リヤド・マフレズに裏を取られたパニック以外の何物でもなかった。

 その後、マフレズと代わったフィル・フォデンが3点目を蹴り込んだ試合終了間際まで、マンCのチーム練習を見るような展開となった。厳密にいえばアーセナルが互角に渡り合えていたのは前半15分あたりまでだった。

唾を吐き捨てちゃいけないのに。

「プロジェクト・リスタート」が始動したばかりの時点では、中立スタジアムでの無観客試合の可能性が高く、ホーム・アドバンテージのない試合に反対する声も上がっていたが、7割近くボールを支配したマンCの優勢は、観衆がいなくても以前の通りだった。

 もちろん、空っぽのスタンドがそうであるように「以前とは違う」と感じさせられる部分がなかったわけではない。可能な限りソーシャル・ディスタンスを保つという配慮から、両軍がトンネル内で整列して入場を待つことは許されない。

 入場は、アウェイチームの次にホームチームと間隔を空けて行われる。試合が始まると、前後半にはドリンク・タイムが1回ずつ。唾を吐いたり手鼻をかんだり。得点後にチームメイトに抱きついて喜んだりする行為も禁じられている。

 もっとも、再開初日にはシェフィールドのFWオリバー・マクバーニーが、20分ほどで唾を吐き捨てていたのだが……。

【次ページ】 テレビ中継では「観衆ノイズ」が。

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