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本田圭佑が語る。カッコつける理由、
「嫌なこともやる」、『自助論』。
posted2020/06/21 09:05
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
<前編「本田圭佑を直撃取材。『中学から人生の逆算の方程式はできていた』」は記事最終ページ下にある「関連記事」からご覧になれます。>
高速道路を降りると、高層マンションが立ち並ぶ一角が現れた。心なしか道路のアスファルトまできれいに見える。マンションの駐車場にはゲートがあり、1階のロビーにはスーツを着たコンシェルジュが立っているのが見えた。
「車を手配するので、それまでどこかで時間を潰しましょう」
本田の案内で敷地内を歩く。マンションどうしの間隔はかなり離れており、木々が植えられて公園のようになっている。リャマが放し飼いになっている動物園のような場所もあった。
「すごくいいところだね」と言うと、本田は「ここは守られている感じがするよね」と笑った。敷地内にあるオープンカフェに入った。
カラフルな布製のソファーに腕をまわして本田が座ると、雑誌の撮影のワンシーンのようになる。残念ながら、直撃取材なのでカメラマンが同行していないのだけど。
「エスプレッソをダブルで」と本田が注文した。自分も同じ物でと言うと、本田がロシア語で「ドゥヴアー(2つ)」と伝えた。ときおりそよ風が通り抜け、午後のゆったりとした時間が流れていく。
みんなが嫌がることを我慢してできるかどうか。
─―最近、日本代表選手の本が売れているんだけど、本田くんは出さないの?
「興味はないねぇ。まあ、もし引退してから出すことになったとしても、サッカーだけの本にはならないかな。偉そうな言い方になってしまうかもしれないけれども、変わりたいって思っている人に役立つような本になると思う」
――今日の取材の中にも、役立ちそうな話がいっぱいあった。
「まあ、やっていることはみんなとあまり変わらないんだけどね。結局、みんなが嫌がることを我慢してできるかどうかなんですよ。オレはスーパーマンでもなんでもない。ただみんなが嫌なこともやれるし、夢のためにやりたいことも我慢できる。それを本当に徹底していて、あとは人よりも思いがちょっと強いだけ。その差が結果に現れたりするんですよ」
――少しの差が、大きな結果を生み出すと。
「オレはそう信じているよね。それを信じてがんばっていかなあかん」