才色健美な挑戦者たちBACK NUMBER
中澤佑二×熊谷紗希
「やっぱり楽しむことが大事!」
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byBS Asahi
posted2020/06/03 11:00
代表とクラブのギャップをどう埋めるか。
熊谷 ありがとうございます。女子は若い選手がすごく多いんですね。技術的にかなり上手なのですが、じゃあ所属クラブでやっていることを代表で同じようにやろうとしても、難しいじゃないですか。
中澤 代表とクラブのやり方は絶対に違うから、そこの意思統一は難しいよね。クラブでやってきたことを代表で出したい気持ちはわかるけど、たまにしか集まれないメンバーなので、グッと堪えて代表チームのために戦うプレーヤーはいなきゃいけない。ただ、若い子がそれを考えると縮こまっちゃうので、若い子をうまく放牧というか、自由に遊ばせて、尻拭いできるベテランがいるとまとまるんじゃないかな。
熊谷 そこは頑張ります、マジで(笑)。あと、監督の戦術をリスペクトしながらも、ピッチ上では多少のズレが出てくることもありますよね。そういうのは選手たちで噛み砕いてましたか?
中澤 うちには中村俊輔、遠藤保仁、田中マルクス闘莉王がいたので、大体そいつらの一言でまとまるんですよ。個性や癖の強いプレーヤーでも、彼らのことはリスペクトしてますからね。逆に俺なんかが言っても「いや、無理」って言われますから(笑)。
世界基準で物事を考える。
熊谷 20歳から海外に出ていたので感じるのですが、日本人って上手いんですよね。でも、上手いって何だろう、って思うんですよ。上手さに逃げていたら、海外で戦うのはちょっと厳しいんじゃないかって最近感じていて。
中澤 それは闘莉王やヒデさん(中田英寿)も言っていたことですね。日本人は練習や遊びでは上手いんだけど、いざ強い相手と戦うとそれが出せないんですね。上手さを履き違えているみたいなことは常々言ってました。若い選手は特に海外のプレーヤーとの対戦経験を増やした方がいいかなとは思います。
熊谷 それは本当に思います。ユースだと世界でそこそこ結果を出しているんですよ。じゃあA代表になったときに何が変わったのか。その違いをもっと全体的に気にしないといけないのではないかと。
中澤 男子は海外で活躍したり、発信できる人が多かったからね。「もっと海外を見ろ」って最初に言い出したのがヒデさんで、(イビチャ・)オシムさんなんかも言っていて。なでしこも世界基準で物事を考えろという人が、もっとたくさんいるといいんですけどね。