スポーツはどこへ行くBACK NUMBER
女子プロゴルファーとJリーガーが
ユーチューバーになってみたら……。
posted2020/05/24 11:50
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Sports Graphic Number
新型コロナウイルスの直撃を受けてスポーツ界の動きが止まっている中、次々と誕生しているのがアスリートYouTuberたちだ。本連載「スポーツはどこへ行く」では今回、女子ゴルフとサッカーの新人YouTuber2人をオンライン取材。配信の狙いや手法を聞いてみると、それぞれに深い思いがあった。
話題の「女子プロの素顔が見える」動画チャンネル。
4月3日からYouTubeを始めたのは、女子プロゴルファーの成田美寿々(オンワードホールディングス)だ。2013年にプロテストに合格し(ツアー参戦は'12年から)、今季はプロ8年目。昨年までに通算13勝を挙げ、生涯獲得賞金は5億円を突破している。大の宝塚ファンとしても知られており、インスタグラムのフォロワーは約7万人。
「成田美寿々芝組ゴルフch」として発信し始めたYouTubeは、チャンネル開設から1カ月で登録者が1万人を超え、5月5日には「1万人達成記念ライブ!」としてファンとの“リモート飲み会”を配信した。コメント欄をのぞくと、「女子プロの素顔が見える」と好評だ。
YouTubeを始めたのは、大会が中止になる中で、女子ゴルフを盛り上げたいという思いからだった。
「大会という舞台に立てない状況で、ファンの皆さんと結ぶステージを自分で用意できればと思いました。プロとしては、見せてなんぼのエンタテインメントもないといけないと思っているので、その一端を私も担うぞ! という気持ちです」
肩肘を張らない自然体の動画からも伝わるように、企画から撮影、動画編集までほぼ1人でやっているのが成田流。
「撮影はさほど時間がかからないですが、20分の録画でもそれを見ながらカットしたり文字を載せたり音楽を流したりすると、凝ったものなら2、3時間かかります。1人だと毎日は無理ですね」
とはいえ成田は元々、カメラで写真を撮るのが趣味で、スマホは真っ先に買い換えるなどのガジェット好き。宝塚ファンとして培った「ファン目線」による発想で企画を立案している。これまでにアップしてきたのは『通算13勝の全クラブ紹介』『練習ルーティン紹介』など。ときには『呑みライブ』も飛び出す。
「これほど長くコースに出ない期間を過ごしているのは初めての経験」というだけに、逆に普段はできないことに挑戦できるというポジティブ思考も生まれている。利き手ではない左打ちならどうなる? というテーマでつくっている『レフティー成長日記』では、初ラウンドで100を切ることを目標に練習シーンをアップ。
「ツアーが始まる前に必ず一度はコースを回ろうと思っています。初ラウンドの動画は100を切っても切らなくても必ず上げます!」と言うので楽しみだ。