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女子プロゴルファーとJリーガーが
ユーチューバーになってみたら……。 

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph bySports Graphic Number

posted2020/05/24 11:50

女子プロゴルファーとJリーガーがユーチューバーになってみたら……。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

「李忠成/Tadanari Lee」初めて公開したのは2020年3月25日。

「サッカー界の伝説のバイブルにしていこうと」

 そんな李が心に持っているのは、「選手の価値を形にするために一番重要なのは、言語化すること」という考え方だ。

 李自身が「言語化」の重要性に気づいたのは、約2年間過ごしたイングランド・プレミアリーグから日本に戻った後の、27、28歳ごろ。パーソナルメンタルトレーナーをつけてマインドセットをするようになったのがきっかけだという。

「マインドセットのためには、まず自分の感覚を言語化する。その作業を重ねた中から1つの腹落ちしたことが、自分の答えになるんです」

 YouTubeではいわばこの「答え」を他のアスリートから引き出している。そして、李自身の中にはない「答え」を映像に残すことで、価値を見える化している。もちろん、インタビューする相手が“本物の経験”を積んできていることは大前提。

「アスリートの価値を言語化して後世に残していこう、サッカー界の伝説のバイブルにしていこうというコンセプトがあります」と語るように、志は高い。

「奥さんに怒られてしまうくらいの出費が」

 現在、「李忠成/Tadanari Lee」のコンテンツは李自身とクリエーター、動画編集者の計3人で制作している。対談する選手に連絡してアポイントを取る、シナリオの中で掘り下げるポイントを設定するなどは李の仕事。その後は動画を編集し、事務所確認、チーム確認などを行なってから配信。制作現場でプロの手を借りているため、相応の経費がかかっている。

「余裕で出費の方が多いですね。しかもコロナの影響で、再生回数に対する報酬は聞いていたより安い。今は奥さんに怒られてしまうくらいの出費があるので、今後はスポンサーをつけていきたいです。ただ、心配はしていません。今は組織の時代ではなく個人の時代にシフトしている。個人の力をつけていかなければならないなら、子供のころから結果主義の中で生きてきたサッカー選手の壁を乗り越えるマインドは、社会人にもプラスになるはず。再生数ではなく、良い内容の動画をつくることに重きを置いています」

 李のチャンネルでもうひとつ特徴的なのは、書き込まれたコメントにできるだけ返信していることだ。

「コメントはファンサービスみたいな位置づけとして考えているので、できるだけ続けていきたいですね。僕自身、小2の頃にカズさんやラモスさんにサインをもらったときのことは、ずっと心に刻まれていますから」

【次ページ】 「あなたにとってYouTubeとは?」という問い。

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