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バルセロナに球蹴りが戻ってきた。
親子の路地裏フットボールの幸せ。
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2020/05/21 07:00
長い外出禁止から明けて、ボールと戯れる子どもたち。バルセロナの街中にフットボールのある日常は少しずつ戻っている。
“親子”はボールを蹴り合える。
規制された生活に息苦しさも感じ始めていたある日、フットサル仲間と話をした。
「どう、元気?! 球蹴りぐらいしたいよね」
「元気だよ、ちょっと前にボール蹴ったよ」
「1人でしょ?! 誰かと蹴りたくない?!」
「いや、息子と」
ビビビっときた。今、公式にボールを蹴り合うことが認められているのは、親子だけなんだ!
前述したグループ分けで、“14歳未満の子ども”の外出が認められている時間帯は、正午から午後7時まで。1人で外出ができない幼児には、親1名どちらかが同伴できる。細かな規制はあるが、親子がボールを蹴り合うことは可能だ。
このコロナ禍で、ボールを蹴っている親子がいる。サッカーのある幸せな光景を写真に収めたいと思った。外出は認められているが、密を避ける為、公共の公園は封鎖されている。それならどこで?
平日なのに平穏な週末のような。
正午過ぎ、小さな路地が入り組み、古きヨーロッパを彷彿させる街並みのグラシア地区に向かった。
澄み切った青空の下、小鳥のさえずりを聞きながら散歩をする家族連れがたくさんいる。一見、平穏な週末の光景のようだ。しかし澄んだ空の青も、経済活動のストップで、大気汚染が改善されていることも一因だろう。
平日なのに、父と子だけのペアが多く見えるのが少し奇妙に思える。コロナ禍において、子供の有り余った体力を発散させるのは父親の役目なのかもしれない。いや、父親の瞳も子供と同じくらい輝いている。皆、自由に体を動かし、外の空気を吸いたいのだろう。