欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
バルセロナに球蹴りが戻ってきた。
親子の路地裏フットボールの幸せ。
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2020/05/21 07:00
長い外出禁止から明けて、ボールと戯れる子どもたち。バルセロナの街中にフットボールのある日常は少しずつ戻っている。
スペインのフェーズ0の状況。
スポーツの無い世界に生きるスポーツカメラマンほど無意味な人間を僕は知らない。
外出禁止の中、ベランダに飛んでくる小鳥や虫を撮影してインスタにアップする日々。“カメラ”ではなく、飼っている“カメ”を見つめる時間の方が多くなった。最後にメッシをファインダー越しに追いかけたのは2カ月以上前。10万人のキャパを誇るカンプノウ・スタジアムでの対レアル・ソシエダ戦、ずいぶん遠い記憶だ。
ただロックダウンの効果が如実に現れ始めた4月の終わり、規制緩和プランが発表された。4つの「フェーズ」を経て、“新たな”日常に戻るという。フェーズ0から始まり、状況を鑑みて段階が進み、フェーズ3を経て日常に戻るのだ。
執筆時でのバルセロナはフェーズ0にいる。市民は、
●14歳以上の者
●介護が必要な者及び70歳以上の高齢者
●14歳未満の子ども
の3グループに分類され、それぞれに割り当てられた時間帯に、屋外での散歩や個人での運動を楽しめるようになった。
個人の運動はOK、でもサッカーは。
これにより、バルセロナの街中に徐々にスポーツが戻ってきた。
14歳以上のグループが活動できるのは、午前6時から10時、または午後8時から11時の間になる。夏時間になったバルセロナの日没は21時過ぎ。20時以降、まだ明るい夏になりきる前の心地よい涼しさの中、たくさんのランナーを見ることができるようになった。
ただあくまで個人での運動に限られ、友人で集まってサッカーを行うことはできない。2人でパス回しをすることもできない。スペイン人ならばコソッと隠れてやっているかな、とちょっと期待しつつ、カメラを片手に街を徘徊してもサッカーボールを蹴る光景は見当たらなかった。
仮に見つけられても、それは闇営業ならぬ闇サッカー。ボールを蹴る気持ちは分かるし、密告するような写真が撮りたい訳ではない。