欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
バルセロナに球蹴りが戻ってきた。
親子の路地裏フットボールの幸せ。
posted2020/05/21 07:00
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
吾輩はスポーツカメラマンである。名前はまだ売れていない。何でも煌びやかな10万もの人が集まる所で、カシャカシャ写真を撮っていた事だけは記憶している。
スペイン北東部、地中海に面するバルセロナに移住して10余年。サッカーを中心に、様々なスポーツのゲーム、そしてアスリートのポートレートを撮っている。
バルセロナを拠点にしているので、自ずとバルサの撮影が多い。週中にチャンピオンズリーグの撮影があり、週末にはリーグ戦の撮影をする。そんな10年余りの間にはロナウジーニョを中心にシャッターを押していた時代があり、監督としてのグアルディオラを追いかける時もあった。メッシのことは、ひたすら撮り続けている。
例年、5月は欧州サッカーが佳境を迎える季節だ。各国リーグ戦では優勝を決定づける試合が行われ、CLでは準決勝や決勝のカードが話題に上る。もちろんバルサもその常連だ。
2カ月経っても非常事態が延長。
しかし事態は一変した。
スペインからスポーツが消え去った。
3月14日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け15日間の非常事態が宣言され、スペイン全土で外出禁止の措置がとられた。個人で行うランニングさえも禁止され、食料や医薬品の買出しでの外出だけが認められた。夫婦での買出しも認められず、原則1名のみ。違反者には7万円以上もの罰金が科される厳しいものだった。子供達に関しては、一切の外出が認められなかった。
その間、当然のようにスポーツイベントも中止となった。ただ、当初は15日間限定の措置ということでもあったため、その期間があければ日常が戻るのだろうと自分も含めた多くの人が楽観していた。それくらい「2週間にも及ぶ外出禁止措置」というのは、政府による厳格な措置に思えた。
それから2カ月が過ぎた。スペインでは未だに非常事態の延長が繰り返され、日常もスポーツも戻っていない。